第10章 【菅原】コトコト
日が昇るのも遅くなり、寒さが霞む今日この頃。
朝早くから出社して、遅くに帰ってきては夕飯の支度。
嫌になるなぁと思いつつ
「ただいまー」
と帰ってくる愛しい考支は、台所に立つ名を見ると疲れて入ってきた顔をすぐに明るくして
「着替えてきますっ!」
とスーツを脱ぎ、ルームウェアに着替えてくる。
内心、そんなだらけた格好で居てほしくないなぁと思いつつ、
「何を手伝いますか!?隊長!」
「隊長って」
と笑い合える。
一緒に住んで一年目。
「『け、結婚前提にど、同棲しません、同棲しよう!』って言ってたのになぁぁ」
と煮物を見ながら言うと
「え?!今もだよ?!今もそう思ってるよ!?」
と焦るあなた。
「どうだかなぁ」
と笑えば
「えー、なんだよー。今日はご機嫌斜めかー?」
と抱きついてくる。
それが嬉しくて、鬱陶しくて、むず痒い。
「もー」
と笑えば、考支も笑う。
このままずっと一緒に居られれば良い。
いつかはこんな事なくなってしまうかもしれないけれど、
あなたとなら一緒にずっと居られると思う。
「煮物夫婦?」
「は?何それ?」
クツクツ、クツクツ。
煮込んで、お酒のせいで熱くなる時も、お砂糖とみりんで甘くなる時もあるけれど、全てを合わせれば全てをまろやかにしてしまう。
「考支効果?」
「え?だから何それ?!」
クツクツ、クツクツ。
密に、蜜になっていく私達の将来はどうなっていくのだろう。
これからも私を元気づけて、あなたを元気づけていけたらなとお鍋を見ながら思うのです。