• テキストサイズ

【HQ】今宵一緒に呑みません?

第3章 【澤村】話は半分


カランカラン
部屋に響く空き缶の音。
(何本目だっけ?)
そう思いながらもまだ飲んでる自分がいる。
「うぇーん。ひっー。」
『やりたいって言ったのは名だろ!なんですぐそうやって!!』
昨日言われた事を思い出し泣けてくる。
『なんですぐダメだとかいうんだ!』
大地は昔からやりたい事はきちんとやる人で、きちんと自分の言葉に責任を持てる人。
バンッ!バシッ!
体育館に響くボールの音と烏野のオレンジと黒のユニフォーム。
(あの人がチームを守ってる)
自分の高校を応援しに行った試合先で大地を見た時にそう思った。うちのキャプテンもまぁまぁだと思っているけど大地とは比べ物にならないと思った。
(格好いいな)
試合を見ていてそう思ったのを思い出す。あれから進学し、バレー部に入ったら
「同じ部活の澤村だ、宜しく」
と大地が居て驚いた。
「苗さん常波だったんだ!そしたら烏野知ってる?」
「し、試合は、見に行った事ある。」
まぁ他校の事なんて覚えてないよなと笑う大地に覚えてます!!と内心で叫んでいたけどそれは内緒の事。それからは授業のクラスが一緒だったりと何かと一緒に居ることが多く私から告白し、お付き合いしてかれこれ3年目。お互いの嫌なところも良いところももう知った仲で相変わらず意思をしっかり持っている大地とは反対に何事もすぐ弱音を吐いてしまう自分のどこが良くて一緒に居てくれてるのか本当に謎である。
「なにそれ」
あの時の大地も怖かった。こちらから告白したのもあってか不安で不安で仕方なくて同じ事を言った時一瞬で機嫌が悪くなり不安な事を伝えたら
「名の全部が好きだよ」
と笑って返してくれた。何を馬鹿な事を言ってるんだという顔で。その時どうしようもなく改めて大地が好だと思った。しょうもない程に、あの笑顔を味方につけて弱音を吐きまくっては一喝されるそんなやり取りが好きなのだ。
(怒られるのが好きってMか?私はMか??)
社会人になって仕事、仕事、仕事。仕事が出来る人なら楽しいのだろう。だが好きな事を仕事にしたのに仕事が出来ないこの辛さ。
(だからあんな事を言われるんだ)
やりたい事を頑張ってきた人の前で言うことではないだろう。がんばり屋の大地に見合う女になりたい。
/ 26ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp