第2章 【東峰】やっと着いた先に
「次はー」
との案内で驚く、こんなに熟睡したのにその駅名なのはおかしい。ばっと時間を確認して、乗った時間を思い出すと時間が合わない。アプリで終電を調べてみればそろそろなくなる時間。
(ぎゃ、ぎゃ逆に乗らないと・・・!!)
そこではたと気づく、
(今何行き乗ってんだ俺?!)
こんな事ならばいっそ先ほどの駅で降りれば良かったか?いやこんな雪の積もるなか、都会と違ってなにもないタクシーもこない駅で夜を明かすのは
(死んじゃうよー)
と酔いもすっかり醒めてしまい、焦りまくり、車内の案内板を確認すると
(あ、あってたぁぁぁ)
と方向が合っていた事に、良かったぁぁとズルズルと体勢を崩しマフラーに顔を埋める。
(あ)
そして気づく。酔って、途中駅で折り返す電車に乗ったのだ。しかも折り返す時に駅員さんの見回りが来ないためわそのまままた同じ方向になったのだ。
(あぁぁぁ、それなら辻褄が合うわ)
終電前に乗ったはずがそれで折り返してしまい、結局終電間近に乗ってるのだ。
タタンタタン。
そして次の駅に着き、開いた扉の先は真っ暗。奥に見えるのは街灯に照らされた雪の積もった白い風景のみ。先ほどまでいた繁華街とはうって変わってなにもない風景。
(本当、大地達と会いたいな。)
入ってくる冷気に身震いしながらそう思い、目をつむる。
タタンタタン
ドアが閉まり、また暖かくなってきた足元と一定のリズムがまた眠気を連れてくる。
(ダメだ。ダメだ。)
向かい側を見れば窓越しにうつる自分の姿。はやり高校生の頃と比べると大人になった。
(名も高校生の頃はもっと幼い感じだったもんなぁ)
今ではお化粧もし、格好からしてすっかり大人の女性である。
(けど、今も昔も可愛い)
そう頬を緩ませながら乗っているとスマホが震え出した。取り出すのを焦りすぎて落としそうになりながら画面を見ると連絡が入っていて
『今どこ?!』
と名の名前が映る画面に噂をすればだと思ってまた顔が緩む。
名は地元を出ており、めったに帰って来ない。なので返信したところでと、車内ではそのままにし、また少し電車に揺られていく。その間も名との思い出を思い出してはニヤついていると、また
ブブブブブブブ
とスマホのマナーモードが鳴る。