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【HQ】今宵一緒に呑みません?

第8章 【菅原】待った者同士


「俺が忘れさせてあげっかー?」
ついでにさらに口走ってしまった。
すると名の手が強く握り返され、一緒に泣き声が聞こえる。
(そんなに嫌か?!)
はぁ、全く参ってしまう。
あっちもこっちも未練たらしく恋をして
「はーー」
と白くなる息を見つめれば
「駄目だよスガ。酔った時にそういうのは」
そういう所にもし自分のものになった時を考えると安心する。
「そうだなー。したら泣き止めー」
「うん」
ギュッ、ギュッ。
「でも」
「ん?」
「スガだったら良い」
その言葉に今度は菅原の手が握り返される。
「だったらって何だよ」
「何だよってスガが先に言ってきたんじゃん!」
「いつもならそういうのは乗ってこないだろ?!」
「だからスガならっ」
そう言い争っていると菅原が名を抱き締める
「酒くさっ!」
「名には言われたくない」
そのままの体勢で菅原が言う。
「言っとくけど今日だけじゃないかもよ」
「そうなの?」
「あぁ。ずっとだ。酔ってるから改めて明日もう一度言うけど」
「・・・うん」
「ずっと好きだった」
「そうなの?」
そうだよ。いつも大地しか見てないから気づいてないけど、けれど周りは皆知ってるんだぞ?知らないのは道宮位だよ。
「本当、大地しか見えてないよな」
「だ、だって」
そして菅原の腕の中で何か思いつき
「大地の事ひきずってやっぱり駄目って事・・・」
と不安になる名に
「平気平気、もう遠慮しなくていいなら全然平気」
これからはもう君の気持ちに遠慮することなくぐいぐい行ける。忘れたいっていうならもちろんそうしてあげる。だって君の今までと俺とのこれからどちらが長くなると思う?
『俺達今度・・・・』
そう言えるのは次は俺達でありたい。
「明日でも何度でも言うけど」
抱き締めるのをゆるめ、名と顔を見合わせる。
「ずっと名が好きだった!」
そうしてまた抱き締めれば腕のなかでうなずいているのが分かる。
あぁ酔いのせいか、気持ちのせいか俺達の周りだけ雪がなくなってしまいそうだ。
「今日はダブルでめでたいな!」

そうして二人はとても寒い日に付き合う事になりました。

End
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