第5章 【菅原】オタ恋まがい??
カタカタ カタカタ カタカタ
タッチペンがペンタブと当たる音が鳴る名の部屋。
「ただいまー、お邪魔しまーす」
三つ下の彼女である名はまだ大学生で、一人暮らしをしていることと、勤務先から近い事をいいことに休日の前日などはよく泊まりに行っていた。ただ、
「お帰りー」
と休日の前日は決まってペンタブの音がひたすら鳴るこの部屋。
「まーたやってんの?」
「だって明日休みだし!!」
「俺いるのになぁ」
と愛しい彼女の趣味はオタク活動。まぁ同人誌という単語位は最近、テレビを見ていれば夏とかそういう時にきくので知っている。内容までは知らないけれど名が作業している横に居ればなんとなく、メンズのその手の本よりひどいのでは?と思うほどの内容のものもあるのまでは知っていて
(まさか俺がその手の子と付き合うとはなぁ)
と買ってきた発泡酒を開けて名の部屋に置き去りにしているルームウェアを着て名の作業を後ろから眺める。壁には明後日の欄に締め切りの文字。そしてその真下ではガリガリとせっせっと、帰ってきたというのにこちらすら見ない彼女。
(俺なんで名の事好きなのかこの時だけはわからん・・・)
むーっと困った顔をしていれば
「は!夕飯!夕飯ね!今日、親子丼!!冷蔵庫!」
じゃっ!とそれだけ言って再び画面に向かってしまう名。確かに今月に入ってから帰ってくると画面に向かい、帰ってきてからは自分の相手をしてくれていた。名だって日々の勉強、、、、勉強してるかは謎だが、日々の学校生活と部活とがあり、自分が泊まりに行く日は必ず夕飯を支度してくれている。
(そういえば今回は先月からずっとやってるな)
今まではカレンダーに丸印がる日に近づく度デートが減り、来ても名は徹夜状態だった。それがどうだろう、今回は先週来た時は確かに作業をしていたけど、次の日は普通にデートだった。
(しかもあの日も一緒に寝れたよな)
とはたと気づく。大学生の頃から付き合って早数年。付き合った時からオタク活動をしていて、
「こんなのが彼女でも良いなら」
と作品の漫画と共に返事をもらった。
「俺はそういうの全く分からないけど、名を好きなのは変わらないと思うので!」
と言った感じで付き合う事になった。