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君と並んで歩く未来

第6章 無法地帯


「完成だ!」
創馬はそう言って全員分の茶碗を置いた
「ゆきひら裏メニューその20(改)鰆おにぎり茶漬けだ!!」
「本当は鮭で作る品なんだけど本日は鰆バージョンで作ってみました。さぁ皆でおあがりよ!」
周りは彼が作ったそれに興味津々な様子で
「注いであるのはなぁに?」
「塩昆布茶だよ。やさしい塩気とコクが食事の〆にぴったしだからね」
「もー!!こんなの出されたらおなか減るに決まってんじゃん!」
榊と吉野がそう言っている間一色はジッと茶碗を見つめて何かを考えている様子だった。それを横目に瀬凪は目の前の茶碗を手に持った。それにつられる様にほかの人たちも茶碗を手に持ち、箸をつけた
「ん~~~~~~♥」
一色は幸せそうな顔でこれまた幸せそうな声を上げた
「鰆の身がすごくジューシーで…噛む度に旨味が湧き出てくる。何より皮のこのザクザク感!」
「ただ炙っただけじゃこの歯応えは出ないわ。いったいどうやって…」
榊が疑問の声を上げる。だがその疑問はすぐに解決することになる
「『ポワレ』だ…」
その声の正体は一色だ。全員の視線が彼に集まる
「この鰆、『ポワレ』で焼き上げられている!」

ポワレ!?

「何であんたも驚いてんのよっ!!」
「いや、ポワレって何だろーと思って…」
その時、静かにお茶漬けを食べていた瀬凪が口を開いた
「ポワレというのは」
フランス料理における素材の焼き方『ソテ』の一種でパレットナイフ等を使い素材を押さえながら、均一に焼き色を付ける技法
「臭みが出ないよう魚から出た油を逐一捨て、オリーブオイル等を足しつつ焼く必要があります。手間は掛かりますがこの鰆の様に皮が厚い魚の場合ザクザクな感触を出すことができます」
彼女の説明にぽかんとした顔で見つめる吉野、榊、そして創馬の三人
「…何ですか?」
その視線に気まずくなったのか視線をわずかに反らしながら言う
「いやぁ、瀬凪は物知りだねぇ」
感心したように言う吉野。それにうなずく榊。その様子に更に居心地悪そうに瀬凪はする
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