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君と並んで歩く未来

第6章 無法地帯


「今僕は感動しているッ…極星に住まう学生はそうでなくてはいけないよ!」
あまりの勢いと予想だにしていない反応に創真たじたじになりながらも「お、おう…」と引いたような返事をする。感動が治まってきたのか先程よりは落ち着いた様子で一色は微笑む
「でも今日のところはおあずけだね。夜も更けた…我々も休もう、創真くん!」
そこで彼はくるりと首だけを静かにしていた瀬凪に向け笑みを深める
「瀬凪くんもね」



「創真」
自身たちの部屋に向かいながら瀬凪は隣を歩く幼馴染に声を掛ける。声を掛けられた本人はのんきに欠伸をしている
「ふぁ…何?」
眠たげにトロンとした目を斜め下に向ける。そこには些か厳しい顔つきをした瀬凪が
「さっきみたいなこと…あんまり表立って言わないほうがいいと思う」
真面目な声色で忠告するように、咎めるように言い放つ瀬凪。それに創真は首を傾げる
「さっきみたいなこと…?一色先輩の事か?」
「そう」
瀬凪は前を見据える
「ああ言う事をいうと…もう遅いかもしれないけど、敵を作ってしまう。何かあってからでは遅いんだから…」
目を伏せる彼女からは心配が伝わってくる。そう、瀬凪は心配だったのだ。彼が多くの人から疎まれ孤立してしまうのが。もちろん、どんな時でも彼から離れようとは思ってはいないが、それでも彼が周りから嫌悪の目で見られるのは気分が良いものではない。そんな彼女の心情を理解してか創真は瞳を柔らかく細めて言う
「大丈夫だって」
その楽観的な言葉に瀬凪は眉を顰めて些か怒ったように
「もう、どうして創真はそんな楽観て「だって」」
彼女の言葉を遮り創真は瀬凪にしか見せないような優し気な笑みを浮かべて言う
「どんな時でも瀬凪は俺の味方でいてくれるんだろ?」
その言葉に瀬凪は目を見開き、そして頬を赤くする
「あ、当たり前でしょう…!」
そう言って瀬凪は歩く速度を速め創真に背を向ける。その様子を見てクックと喉を鳴らす創真。背を向けた彼女の髪から覗く耳は赤く色づいていた。その姿に彼は彼女への愛おしさを胸に募らせていった


こうして余は更けていった_____
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