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君と並んで歩く未来

第3章 魔王、『玉』を語る


その行動は創馬も予想していなかったのか、歩みを止めて振り返る
「瀬凪…?」
創馬の声にも反応せずマイクのスイッチをONにする
「先程は所信表明をしていなかったので改めてさせていただきます」
彼女の透き通るような声に全員の視線が集まる。そして先程までは顔をしっかりと上げていなかったため完全には見ることのできなかった彼女の顔が露わになる
「今年から編入することになった朝比奈瀬凪と申します」
その絶対的な美貌。視線を一身に集めても崩れない堂々たる振る舞い
「正直私もこの学校について別にどうとも思っていません」
「ハッキリ言ってどうでもいいです」
彼女の神秘性すら感じる美貌に見とれていれば、無表情のままそれはそれは凄いことを言ったことにワンテンポ遅れて気づいた
「けれど、来たからには最善はつくします」
彼女は空気が固まっていることに気づきながらも言葉を続ける
「ですので」
今までの無表情をここで初めて彼女は崩した
「3年間よろしくお願いしますね?」
首を軽くかしげながらの大胆不敵で挑戦的な笑み。それでも変わることのない彼女の美貌。それどころか今までの透明な無表情に鮮やかな色がついたかのようなその表情に会場中が先程までとはまた違う静けさを纏い彼女の表情に見とれる。瀬凪はそのまま創馬のところまで近づくとそのまま舞台裏へと姿を消した。今度はブーイングは起こらなかった。ただただ彼女の笑みに見惚れているだけだった

綾瀬瀬凪…彼女の凄い所はどんな状況でも、相手が誰だろうと、魅了し、惹き込み、自身のテリトリーに絡みこませるということ。本人は意識していないが。どんなに嫌がっても、どんなに抗ってもそんなものは無意味なのだ。何故ならそれが人の本能なのだから。人は美しいものを求める。だからこそ人は求める。美しい彼女を……
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