第1章 果てなき荒野
これは明日の朝飯用の『厚切りベーコン』と『じゃがいも』による『なんちゃってローストポーク』だ!」
「…ジャガイモ?」
「そうそう!まずこうジャガを蒸かしてだなぁ」
雰囲気のかわった彼らに瀬凪は気づいた。だが創真は気づかないのか意気揚々と説明をする。そんな彼の脇腹を軽く瀬凪は突く。するとやっと空気の変化に気づいたのか疑問符を浮かべる
「………?」
「__バカにしてるのかしら」
顎に手を当て冷たい視線を二人に向ける峰ヶ崎
「…あれ何だろこの空気」
未だにどうしてこんな空気になったのか理解していない創真。そんな創真に対して瀬凪は額に手を当て溜息を零した
「肉料理を出せって言ったのよ!?意味が分からないわ!」
バンっと机を勢いよく叩いた彼女を瀬凪はそれはそれは冷たい視線で見ていた。彼女はすぐにキレたりヒステリックを起こす女が好きではないのだ
「もうネゴシエーションの余地は無い。この店を明け渡しなさい…」
「いい?本当に成功した料理人は今まで私がプロデュースしてきた様な高級レストランや一流ホテルで生きるものなの。私からすればこの店は」
彼女は気づかない。今からいう言葉が二人の
「失敗作!!存在する価値すら無いわ!」
怒りのトリガーの引鉄だということを
ガシャンっと創真がテーブルに皿を些か強く置く
「ゆきひらに価値が無いかどうかはこの皿一枚でわかるさ」
何処までも真っ直ぐな瞳で見てくる創真に怯む峰ヶ崎
「おあがりよ!」