• テキストサイズ

君と並んで歩く未来

第1章 果てなき荒野


「注文は以上だな?」

静かに紡がれた創真の言葉に笑いが止まった。彼女達はここで初めて二人の表情を見た
「二度とこの店に立ち入らないと誓え…」
腕に巻き付けているハチマキを解く。三つ編みに結えられている髪を解く。
「アンタの舌を満足させる品を出せたらな!」
ハチマキを頭部に巻き付ける。髪を高い位置でまとめ直す

「勝負だ!!!」
二人は怒りに身を滾らせていた

「瀬凪」
「うん」
二人は少ない言葉で全てが通じあった

そこからは圧倒的だった

創真は素早い動きで玉葱やニンニク等の野菜をみじん切りしていく。その間に瀬凪は鍋に水を張り、ジャガイモを切り蒸す。創真が野菜を切り終わる頃には瀬凪が既にボール等の器具を用意し終わっており、オーブンの予熱に入っていた。ボールに蒸したジャガイモを入れ潰す。潰したジャガイモを瀬凪が整形しベーコンで包み、オーブンに入れ焼く。その時には既に創真はソース作りに入っておりソースのいい匂いが店中に広がった。見事な連携と素早い手際に峰ヶ崎達は何が起こっているのか全く理解していなかった

「な…何故だっ!?」
驚愕に目を見開く男達
「どうしてこんな立派なローストポークが出てくる!?」
動揺する男達に瀬凪は目を細め、確信していた。
「(やっぱり、この人達が)」
先程までの態度で分かってはいたがこの反応で確信した
「(でも、まぁ……)」
確信したと同時に呆れもした。よくも、まぁ
「(こんなにわかりやすい反応をするものですね)」
普通なら自分達が犯人だとバレないようにするものだ。だが、彼らは自分達が犯人だと自ら言っているかのような態度ばかりしていた。それは余っ程自分たちに勝算があったのか、それとも只のおバカさんなのか。何方にせよ大人のすることではない

呆れながら冷たい視線を大人達に向ける瀬凪の隣では創真が律義に彼らの疑問に答えていた
「お答えするよ!」
彼らに人差し指を向ける
/ 50ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp