第29章 大切な心
6年後のアイズ視点――
アル「あ、そうだ。
アイズさん、そんなに生き生きしてなかったよ。何で?」首傾
アイズ「それは…まだ、打ち明ける前だったからかな?
一か月一緒に居て、あの時間は…とても、目まぐるしかった」
『大好きだよ』左手を伸ばしながら、満面の笑みで語られた言葉。
それが何度でも脳裏によぎった。
ケイト『ねえ、踏み出そうよ』
アイズ『でも…弱くなるかもしれない』
ケイト『大丈夫だよ!弱くなったら、私が何度でも引き戻す』
アイズ『もし…拒絶されたら』
ケイト『そんなの言ってたら私はどうなんの?龍神の娘だよ?』
アイズ『…あ…』
ケイト『それにさ…そんな人はここにはいないよ。私自身が、一番よくわかってる。
だからさ…怖いのなら、手を握ってるから。
私が助けるから、一緒に行こう』
アイズ『……考えさせてくれる?』
ケイト『時間は待っちゃくれないよ?
それにさ…長引けば長引くほど、余計に言い辛くなるよ。
私なんか知らない間に話進められてたんだよ?自分で話せなかったんだよ?ひどくない?』ぶうぶう&ぷりぷり
アイズ『…;
くす』苦笑
ケイト『だからさ…差別する人じゃないって、信じよう?
ゼウスの血統保持者だって、王族だって知ったって態度変わんないんだ。
だから大丈夫!…きっと、大丈夫だから^^
一緒に行こう!』ぎゅっ
アイズ『………うん…ありがとう^^//』涙目&ぎゅっ
アイズ「あの時…一歩を踏み出せたのは、ケイトがいたから。
ケイトがいてくれて、本当によかったと思う…前を向く、きっかけをくれたから。
ケイト『一緒に行こう!』
前に踏み出す勇気を、くれたから…」
右手を握り締めてくる両手、それに私は握り返した。
でも…パルゥムの王族の件が勝手にばらされたから、アルとディが行った世界の『今から見ての過去』は変わってしまうかもしれない。
けれど…ケイトなら、きっと大丈夫だよね?
アルとディから聴いたケイトの言う学びと言葉、生き方を見て…
きっと、また…何度でも、過去の私を救ってくれるだろうという深い確信を得た。