第29章 大切な心
ばぁん!!!!
二人の足音はドアを蹴破り、ベッドに横たわったまま自分の意思で動けない私を見るや否や…双眸から滂沱の涙を揃って流した。
アル「あっ…ああっ!!」
ケイト「…ふっ(微笑)
おかえり、アル、ディ^^」
アル「お…お母さあああああん!!!!!
うあああああああああああああ!!」
大泣きしながらベッドの布団の上へと飛び付いてきた。
ディ「わあああああああああん!!」
ディも泣きながら縋り付いた。
ケイト「あのね…アル、ディ」
『ん??』
ケイト「二人はね…これから、お兄ちゃんとお姉ちゃんになるんだよ?」
『!!』
ケイト「どっちがいいかな?」くすくす
アル「妹はもうたくさんだ!弟がいい!」
ディ「うん!弟を鍛え上げて結婚する!!」
アル「近親相姦って言って、そういうのはダメなんだぞ!?」
ディ「そんなの個人の勝手でしょ!」
ぎゃいぎゃい
アル視点――
お母さんは、いつものような僕とディのやり取りに微笑んで見守っていた。
そしてお父さんは…いつものように困ったなとぼやきつつ苦笑していた。
いつもの家族が。居場所が返ってきたと、強く感じた。
ケイト「お腹の子がね、まだ生きている精霊と龍の力で血の流れだけは絶えずにあるように、酸素を常に体内に入れるようにだけしてくれてたんだ。
それがなかったら、私はここに生きてなかった。
私一人だけだったら、死んでた」
お母さんのその言葉に、僕達は揃って頷いた。
お父さんは相変わらずお母さんにべったりで、お母さんっ子の僕としては苛立つばかりだった。
むすっとした顔で睨んでいると、いつものように余裕綽々とした笑みを向けてこられる。
だから余計にイラついて仕方ないんだ!!(ぷりぷり)