第29章 大切な心
ケイト『うあああああああああああああっ;;;』
泣きじゃくるケイトを、そっと抱き締めた。
始祖神の時と変わらず、喜びに満ちた心の温かさを感じた。
ケイト「…そんな自分でいいんだって…言ってくれたから。
本質を見てくれたから…その本質が、自分であるからこその苦しみだって理解できた。
本当はさ…わかってたんだ。誰の手も、届く範囲は違う。
たとえ届いたって…助けようとする人、助けず自分の安寧を第一とする人…
後者が多過ぎて、世界の中には前者なんて一握りしかいない……それだけなんだってさ。
フレイヤは…フレイヤ様は、助けようとしてくれた。
こんな私を、大好きだって…言ってくれた。
ロキ・ファミリアの皆も、フィンも…大事にしてくれた。
痛い目遭わされるのが普通だったのに、それとあまりに違ってて…違い過ぎてて…
慣れるまで、すっごく時間がかかった。けど…それでも、離れないでくれた。
それだけで…十分なんだ(ぽろっ)
憎しみも苦しみも…それを失うことより辛いことなんてない(涙)
だから…護ろうと、必死に頑張れたんだって…誰かが、その誰かの大切な者だから……
だから、傷付けないように頑張ってたんだって…自分のことを、その日の内に理解できた。
それが全てなんだ…自分の中ではさ。
あまりうまくは言えないんだけどね^^;」
フィン「十分だと思うよ。よく頑張ったね(なでなで)
乗り越えさえすれば、後はこちらのものだ。
踏ん切りをつけて、それごと含めて自分という形にすればいい」
ケイト「うん。
過去はどれだけ憎んだって変わらない。人もそうだもの」
フィン「うん。よく一人で辿り着いたね」なでなで←ケイトの頭を再び撫でる
ケイト「皆がいたから、離れないでくれたからこそだよ」微笑←フィンに微笑みかける
ディ「ねー、お母さん。何で泣いてるの?どこか痛いの?」なでなで
ケイト「これはね、嬉し涙って言うんだよ?^^」
ディ「嬉しいの?嬉しくて泣くの?何で?」
ケイト「大きくなればその内わかることだよ」なでなで←ディを抱き上げ、頭を撫で回す
フィン「そろそろ決着が着く頃だね」
魔術師の魔法と攻撃を悉く魔力の放出だけで跳ね除けた直後
アルはその魔力全てを左拳に込め、魔術師を殴り飛ばして倒してみせた。