第28章 子達の来訪
今までで類を見ないほどに質が悪い人物、そう感じたからこそ…
使者が来た時に、僕はあれほどに激昂した。←158ページ参照
耐え切れず、キレるという概念を通り越すほどの激情に身を任せた。
最終的にその罪を犯した彼等彼女等全員が死罪判決になり、処刑が執行されたことを皮切りに落ち着いたわけだが…
それまでがあまりにもひどかった。
遠征で人造迷宮の入り口を17階層で見つけ
(後に18階層の入り口を確認した所、それは塞がれていた)
僕を庇って重傷を得たわけだが…それを受けた犯罪者達は笑っていたそうだ。
「憎まれっ子世に憚る」という諺のように、嘲り笑いながら「のうのうと」自分は生きるに決まっているという態度に、ロキ・ファミリア全員が文字通りブチギレた。
未知の場所、未知の襲撃者、未知の道具、不治という名の呪詛…それらの条件から、犠牲者は決して0にはなり得なかった。
彼女無くしては、決して…誰も欠けずに生還など、できなかっただろうと……
だからこそ、今すぐに執行すべきだという意見が寄せられた。
それからケイトの抱く意見を聞いて落ち着いたわけだが…←753~756ページ参照
ちょうどジャガーノートを倒した前日の朝から晩にかけて、無事にその全員の死刑が執行された。
精霊の森の結界の境目を囲うよう50m間隔に十字架を設置、回復魔法付きの不壊属性の縄で拘束して磔にし、動物に生きたまま死ぬ最期の瞬間まで食われ続けるという方法だ。
価値観や感じ方は、あの環境によって麻痺している。
元々幼少から父親に受けていた暴虐に伴い、傷付ける行動はとらないよう細心の注意を払っていた。
だというのに、気付かないほど疲れ切っていてか、はたまた『された本人の持つ主観』にとって悪だったからか…
彼女の全てが悪だと刷り込み、否定の意見は悪だと喚き叩き込み洗脳し、意見を共にする者を増やしていき、周囲から一辺に追い詰め続ける。
自分一人がおかしいのだと思い込むまで追い込み、そうなってもなお続ける。
死ねと殺すぞと続ける。
「嘘つき…殺してくれないじゃんか」と本人は哀しんでいたことを、最近語ってくれた。
あの死刑の執行方法は残虐に映るかもしれないが、彼女にした行いと同じ系統のものだ。
いや…何年も続けてこられた分、ケイトの方が遥かに痛く苦しいのは言うまでもない。