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Unlimited【ダンまち】

第27章 変化





「ヴォ…ヴォオ」

光が止んだ頃、響いたのは打って変わって弱々しい声。


一歩、また一歩とふらつきながらケイトへと歩み寄っていた。

その様はまさに満身創痍。
全身が焼けただれ、構えた時に上にあった左腕は千切れ飛び、槍が左胸へ刺さったまま左の角を無くしながら歩み寄っていた。


ケイト「ははっ…マジ、か、よ」ばたっ

そのままケイトは力を失い、僕の腕の中で意識を手放した。



アイズ「っ」じゃきっ←抜剣して構える

フィン「待て!」
アイズ「!」

フィン「攻撃するな」

ガレス「何故じゃ?倒すチャンスじゃろう?」

フィン「いや…はっきり言って無理だ。

すれすれで魔石をかわさせたんだろう。
だがそれでもなお耐え抜いた、それも無傷で。全てを投げ打って放った究極の一撃を。
それも4倍の威力のそれをだ。

さらに身体能力を倍加させる魔法がかかった状態で無数に攻撃を繰り返したが、傷一つ付かなかった。
これが意味するのは、耐久力やステイタス自体がLv.8よりも遥か上。
最低でもLv.9、もしくはそれ以上の可能性が極めて高い。

つまり…Lv.7の僕らでは話にならない」


ベート「今なら止めがさせるんじゃねえか?」

フィン「ダメだ。
魔法も不壊属性の武器も通じない、有効打は…彼女の龍の力だけ。

今から回復させようとしても間に合わない。
よしんば回復させたとしても大した威力は出せないだろう。

傷口を襲うとしても魔石まで辿り着くには骨が折れる。
今も身体能力を倍加させている魔法もどこまで持続するかもわからない。いつ解けるかも知れない。

その上、回復薬もない。相手は僕達の攻撃では傷一つ付かない。
リヴェリアも倒れている。回復魔法を使える人間が少ない。
傷を付けて倒すにしても力が足りない。止めを刺すに至るだけのそれが今の僕らにはない。

今ここで襲うのは、リスクが大き過ぎる。はっきり言って無謀だ。

さっきも言ったように撤退する。
これは撤退のチャンスだと思え!わかったら早く下がれ!!」

ベート「ちっ」さっ

ぐいっ

ケイトを背負って撤退の準備を進める最中、身体能力を倍加させる魔法が解けたのを感じた。


もし闇雲に攻めていれば…そう考えるだけで、心底ぞっとした。

きっと、最後の悪あがきとばかりに全身全霊を持って暴れ、八つ裂きになっていただろうと――


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