第27章 変化
フィン「総員後ろへ下がれ!!離脱準備をしろ!」
ラウル「!はい!」
フィン「ケイトは僕が連れて行く!
ケイト「来い!」
ずぼっ!!←ピックが抜ける
ひゅっ!!←ケイトへ向けて飛んでいく
ぱしっ!!←ケイトの手元に戻る
ケイト「うおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」
ゴゴゴゴゴゴゴゴ
凄まじい魔力が、針のように鋭い槍に変化させた武器のみに収束されていく。
かっ!(魔法円展開)
ケイト「【龍の力よ、全てを穿ち、喰らい、破壊せよ!」
ずごごごごごごごごごごごごご
煙を巻き上げ周囲の魔力を喰らいつつ、槍自体が細長い龍の形を取る。
ケイト「一切合切全てを喰らい尽くし、刺さりし者へ破滅を齎さん!!――ドラゴニック・ジャベリン】!!!」
次の瞬間、左手に持った槍が赤黒いミノタウロスへ投擲され
突き刺さった直後、内側から魔力が展開される。
かっ!!
「ヴォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ」
空間ごと喰らい尽くすような音と共に炸裂したそれはミノタウロスの全身に拡がり、留まる所を知らず
足元やその周囲の迷宮の壁ごと喰らい続けており、龍の形が時折見え、喰らい尽くそうとしているのが見て取れた。
堪らず上げられる悲鳴、というより断末魔に近い叫びが迷宮中に響き渡った。
ベート「おい…これは、もう;」
ティオナ「人間業じゃないよね…;」
アイズ「龍の…力」
絶句する周囲は、全てを引き込み喰らい尽くそうとするその力に吸い寄せられまいと踏ん張るばかりだった。
そんな大いなる渦が止んだのは、猛威を振るい始めてから30秒後。
ケイト「…」くらっ
フィン「!ケイト」ぱしっ
撃ってから10秒ほど経った後、前へ倒れそうになるケイトを僕は左腕で支えた。
ケイト「はあ…出し切った…」ぜえっぜえっ
フィン「結果が見たいかい?」
ケイト「当たり前だ。真剣勝負だ。見届けなきゃ人が廃る」きっぱり
フィン「言うと思ったよ(肩すくめ)
尤も…この中でも生き残るとすれば、手の打ちようがないんだけどね」
今もなお息絶え絶えの最中、ケイトは必死に意識を留めていた。
発展アビリティ《不屈》の力を持ってしても、どうやら補い切れないほどのもののようだ。
威力が普段の4倍で、なおかつ普通ならば体験しないものだからどうしようもない。