第27章 変化
未踏破の深い階層に居る階層主でも、あれを受ければ確実に滅んでしまうであろう火力。
魔法円が消えると共に四散したそれが熱風となってあたりへ炸裂した直後、リヴェリアは前へと倒れ込んだ。
ガレス「……ようやった」
リヴェリア「……」
その爆風から盾を構えて護ったガレスがそれを受け止めて言うも、当のリヴェリアは精神力枯渇に伴い気絶していた。
大量の汗で濡れて息も荒れ、瞼を閉じて動かないその様子にガレスは一言呟いた。
ガレス「精神力枯渇(マインド・ゼロ)か…」
フィン「普段の4倍にあたる魔力と精神力と魔法を行使する機会なんて初めてだろうからね。
仕方ない。
何より…これほどまでの威力の魔法は、初めて見る」
ガレス「うむ…圧巻じゃったわ」ふふっ
フィン「気絶してもなお杖を離さないのは実に彼女らしいね」ふっ
ガレス「そうじゃの」ふっ
ティオナ「これで決まりだといいんだけど…」
ケイト「それ、フラグが立つって言うんだよ?;」
未だ黒い煙を上げている焼き爛れた地面の穴…
それはクレーターのように直径80mにあたる地面は全て天井から壁に至るまで消し飛んでいた。
ミノタウロスを中心として展開されたそれは未だ、さらに周りの地面を余熱で溶かし続けていた。
そうして…「やったのか?」と息を呑んだ直後、咆哮が響く。
気付けば目の前に現れたそれは、所々すすはついているものの無傷だった。
「ヴオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!」
直後のハウルに、動きが止まる。
『ひっ』『うわあああああっ!!;』
フィン「撤退だ。退却するぞ!」
その様子に、これ以上どうやって倒せと言うんだとばかりに蜘蛛の子を散らすように悲鳴を上げ、逃げ出した。
ケイト「…殿は任せろ」
フィン「!」
その矢先、ケイトから提案された。
言いたいことはわかる。
龍人化の力を一点に注ぎ込み、全てを炸裂させる気でいるんだろう。