第27章 変化
そうオッタルが大剣の先をミノタウロスへ向けて構えて叫ぶや否や、状況の変化から後ろにいたフレイヤ・ファミリアもまた集い
ミノタウロスを引き離すかのように猛攻とも言える攻撃を次々矢継ぎ早に繰り出し続け
後ろへ後ろへと攻撃をする間さえも与えず、突き飛ばしていく。
距離を取らせ、時間を稼ぐ目的なのは明白だった。
オッタル「正気を取り戻せ。
引き戻せるのはお前だけだ…【勇者(ブレイバー)】」
そんな声を遠くに聞きながら、ケイトの耳元へ近付けていた上体を戻して向き直る。
フィン「ケイト…」
また、あの時のように魔力が雪のように降り注いでくる中…言葉を紡ぐ。
フィン「傷付く、君が…見ていられなかった」
ケイト「…!」
我に返ってか、双眸が見開かれた。
フィン「傷付いた君を…もう…見たくは、なかった。
僕も、同じだ。
君と同じように、君が傷付く姿を、見たく、なかった」なで
頭を撫でながら言い聞かせると、見開いた双眸から涙がぼろぼろと零れ落ちていった。
ケイト「フィ…ンっ;;」ぽろぽろ
フィン「大丈夫だ…僕は、死なない」
ケイト「!何で、そんなことっ!」
フィン「君が…
治してくれるだろう?」
ケイト「当たり前だ!!
そもそも私は精霊寵愛を持ってて勝手に治るんだ!望んでなくったって治るんだ!!
不壊属性の服なんだからこっちが怪我した方g
フィン「もう…同じ轍は、踏みたくない。
たとえ…何であっても…君に…傷、付いt(ごぷっ)←血が口から零れ出る
本当は…もう、わかっているはずだ。
君がどれだけ君を軽視しようと…僕は……
僕に、とっては…何よりも…大切な、人なんだ」
ケイト「っ;;…」
フィン「二度と、失いたくないように…二度と、傷付いて欲しく、ない……わかるだろう?」そっ
肺が傷付いていることから声を詰まらせながら、諭すように語りかけ、最後に尋ねた。
ケイトの涙を右手の人差し指で拭いながら紡いだ言葉…
それはきっと、心に届いているはずだ。
君の中にある想いと、僕の中にある想いは似通っているからこそ……