第27章 変化

手を伸ばされる最中、即座に後ろへバック転で飛びずさると共に地面に転がってあった棒を掴んで着地と共に構える。

右手は逆手、左手は順手。


「ヴォオオオオオオオオオオオオオオオオ」

ケイト「ハウル（咆哮）をして何したいんだー？

牛さんおいで♪手のなる方へ♪
ヘイヘイ、攻撃カモン♪」

棒を前、左から後ろ、後ろ、右後ろから前へ回転させながら手の中で遊ばせ、前へ持ってくると共に右手から左手に投げて前へ構えた。

左足を前にし、左手で前へ構えてみせるそれは大胆不敵で、余裕しかないようにも見えた。


ががぎぃん！！

ケイト（ブラインドか…拳の死角からさらに拳を加えてきた。
中々やるな）

ぶんっ
右手に持ち直して手の中で回転させ、後ろへ構え直した。


ががががががががががっがががががががががががががっがが
そこから先は、連打。

ただただ無数の連打の中で、的確に相手の動きの向きに合わせて持ち変えつつ突いて逸らし、力に逆らわず添わしてその真っ直ぐ向かってくる力に対して横向きの力を加えて逸らす。

無数の連打に対し、素早く逸らし逸らし、徐々に攻撃を加えていく。


ケイト「ほっ！！！」
ずごぉっ！！！！←顎を突き上げる

ぼっ！！
「ヴォオオオオオオオオオオオオオオオオ」
ぼおおおおおおおおおっ！！！

！炎の鎧か。

ハウルと共に、そのミノタウロスは炎を身に纏った。

異常事態（イレギュラー）か…はたまた希少種か？


ケイト「【目覚めよ（テンペスト）】」
『！！』
アイズ「え？！」

ケイト「【天雷】」
ばぢぢぢぢ

全身に纏った白い雷が、突きの動きに合わせて当たる直前に棒先へ集い
その神速の突きを避ける間さえもなく炸裂したミノタウロスは、迷宮の壁へ減り込んだ。


ケイト「人生上…唯一傷を負った魔法だ。
魔法は魔力として喰らうはずの自分が、な。

効くだろう？天の牡牛っていうデミ・スピリットの魔法だ。
その身で味わってモノとした。付与魔法だ。

ただ…その魔法と自分に合う詠唱式がそれしかなくってさあ；」ぽりぽり

アイズの【風（エアリエル）】と同じ詠唱式に、揃いも揃って驚きを隠せずにいた。