第26章 紅蓮の猛火
フィルヴィス「私は…お前のように、同じ痛みを抱える人に…出会ったことが無かった。
何度も失い、蔑まれ、言われ続けていく内…気付けば…そう、思い込んでいた。
距離を取れば、関わりさえしなければ…そのように、なったりは、しないとっ;」ぽろぽろ
ケイト「…」そっ&なでなで
同じ思いをしているからか、同じ考え方で距離を取っていたからこその理解によるものか…
ケイトは黙ったまま、そっと静かに背に手を当てて優しく撫でた。
フィルヴィス「済まないっ;
本当は…こんなことを、言い出すつもりでは;;」ごしごし
レフィーヤ「フィルヴィスさん…」
ケイト「…失わない為に、強くなるんだ。
強者には、自分より強い相手、数の多い相手には好き勝手にされる。
自分が正しいみたいに振る舞われるけど、正義なんてものは…人の数だけあるんだ。
全く同じ形なんて、この世にはない。
それでもどう在りたいか…それを模索して、自分という我を以ってぶつかるしかないんだ。
それが人生で、道で…生きていく上で、避けられないことだから。
だから…何を言われようと、自分が全力でやったことを自分が否定したらダメだ。
これ以上ないぐらい頑張ったんなら…もう過去になったのなら、変えられない。
だから…だからっ!(ぎゅっ!)
前に…進んでいくしか、ないんだ。
生かしたいなら、無駄にしたくないなら、それでもっ…(ぎりっ!)
歯を食いしばって、生きてかなきゃ、いけないんだ!(涙目&真剣)
そうでなきゃ…誰が、生きてきたって証明するんだよ?」涙震
ぽとっ
雫がまた、別の場所から落ちていく。
地面に吸い込まれたそれは瞬く間に染み込み、また新たに雫を呼んだ。
心に沁み入るようにと、届くようにとかけられた声は…確かに、彼女の心へと届いた――