第26章 紅蓮の猛火
罵倒されてばかりで、自分に自信を持てないんだろう。
罵倒された件を引き合いに出し、僕自身が不快な思いをするかもしれない、それでもいいのか、大丈夫?と問われたことを説明した。
それにリヴェリアは納得し、ケイトにとっては初めてのことだからこそ混乱したのだろうと、一言呟いた。
ああいったケイトの様子に、ずきりと胸が痛んだ。
失った両親もまた、そういったことを気にする性格だった。
「済まない」「迷惑をかけるかもしれない」と…
そういった…誠実で素直な所は人の鑑だと僕は思う。
それから10分ほど過ぎた12時半頃、帰ってきたケイトは「許してもらえた」と万歳しながら抱き着いてきた。
それも涙ながらに、僕を見るや否や叫ぶと同時にだった。
それを抱き止めながら、僕ははしゃぐケイトが落ち着くまで何度も何度も背を撫でた。
想い人から頬を舐められるのは初めてだった…//
そして肝心の僕達が精霊王の森へ入れるのかという件については、まだ保留という形に落ち着いたそうだ。
12時45分、その頃には既に全員が外の鍛練場で集合していた。
そして見せたいものがある。紹介したい。修業は13時から始めたいと言われた。
それを軽く了承すると、出てきたのは拳銃だった。
恩恵を受けた者には最早効かない武器を何故?という目が集中する中、ケイトは説明を続けた。
ケイト「これはね、供給した魔力を圧縮して撃ち出す拳銃なんだ!
グリップを握って中へ送り込む。そして引き金を引けば撃ち出す!
つまり…(キラーン!!)
魔力を込めれば込めるほど!!」こおおおおおおおおっ!!
『ちょっ!』『え!?;』ざわざわ
どごぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!
凄まじい爆音と共に、それは天を貫いた。
衝撃波によって周囲の全てを吹き飛ばすほどの爆風が吹き荒れ
直径5mという大きさのそれが赤く空気摩擦によって発火しながら十数秒かけて上がっていった。
それは後に…『紅蓮の猛火』と呼ばれ、その拳銃はインフェルノ(劫火)と呼ばれた。
ケイト「どう?皆!//」キラキラ
『…………………………』シーン
皆の目は、既に点になっていた。無論、僕も含めて。
我に返ったのは、それから数十秒後だった。