第25章 ジャガーノート
アイズ「…じゃあ…奥義の、一閃って…」
ケイト「うん。「押す」「払う」「突き」「斬る」…
全ての動きを同時に行い、一塊の突きとして繰り出す技、それが奥義だ」
アイズ「……」
ケイト「?どうした?」
アイズ「…指南役の話、来るかもしれない」
ケイト「え!?;
なにそれ!寝耳に水だよ!;」
アイズ「…前々から話は上がっていた。
今夜あたり、正式にお願いするつもりらしい。
ケイトの技術は、アリと象の身体能力の差を覆す貴重なものだからって」
ケイト「……過大評価過ぎやしない?;」
アイズ「寧ろ遅い方だと思う」きっぱり
ケイト「い?;」
アイズ「第一…恩恵無しの時点で勝てないのが普通。
精霊の加護を受けてるのならまた別だけれど、それさえもない状態で勝っていたから」
ケイト「うん。確かに精霊には手出ししないよう言い含めてたから…自分の技量だけだったとは思うけど……
そんなに…凄いことなの?;」
アイズ「うん」こっくり
即答するほど、か…;
アイズ「器の昇格(ランクアップすること)自体、とても難しい。
Lv.1から2に上がるのでも普通は1年かかる。死ぬまで上がらない人だっている。
そもそもLv.1がLv.2に勝つのはほぼ不可能だと言われている。
1つ違うだけでも差は歴然。
恩恵もない時点でLv.6の攻撃を受け切ること自体、歴史上、前代未聞なほどに異常。
ランクアップ自体、種の進化に等しい。神に近付くことだから…
だから…ケイトの自然と見せている技や技術は
普通の人間の構造で、耐久力で、力で…その隔絶とした差を埋める所か、超えさせるほどの凄いものなんだと思う。
それを制し切れている時点で、その技術は差を埋めるものとして認めるべき。
フィンも人の新たな可能性を垣間見たって高評してたし、皆もあれがどれだけ人間離れしたことか、凄いことか、よくわかってる」
ケイト「…」
アイズ「記憶喪失に陥っていても身体は動きを覚えていた。
技も、いなし方も、受け方一つも…身体能力の差を、もろともしなかった。
だから…圧倒的な差を覆す超高等技術だと認められている」
ケイト「……そっか」
アイズ「…うん……嫌?」恐る恐る
ケイト「…嫌じゃないよ^^;
まあ…うん、なんて言えばいいかな……」遠い目&天を仰ぐ