第25章 ジャガーノート
魔力や魔法のそれは反射する。
けれど、魔力や魔法を伴っての『剣撃』は別。
それをリル・ラファーガで爪は砕けたという情報から察したのを理解していた。
ジャガーノートの不運は一つ…ケイトに、遭遇してしまったこと。
ケイトにはフェイントが一切通じないし、何より…大きな振りでさえも釣られないから。
ケイト「双短剣術、無尽連斬」
垂直な壁を足場に敵の周囲を通るように蹴り、空中から斬り刻み続ける。
上へ意識を向けて振り上げた瞬間、その足元へ向けて蹴って移動。着地と共に上へ蹴り上げる。
そして次の瞬間に、文字通り四方八方、上下前後左右、縦横無尽に斬撃が襲い掛かり
最後にジャガーノートの真上から下の地面へと叩き付けるように斬り裂き、地面へ叩き付け、間髪入れずに再び一閃を繰り出した。
それまでの流れ全てが無尽連斬という技らしい。
壁ごと頭を貫いたそれは絶命したのが、目に見えてわかった。
全身の装甲は絶え間ない連撃に伴うひび割れが拡がり過ぎたことで剥げ落ち、傷がない部分さえなかった。
ケイト「よし、倒した」
ぶんっ!←剣を壁から抜いて振る
ぼぉっ!!←灰となって消えていく
灰となって霧散する最中、爪と背中の装甲が残された。
ケイト「お。ドロップアイテムゲット!」
アイズ「…いったん、帰ろう?」
ケイト「うん。スタンピードの兆候かな?」
アイズ「?…何?」
ケイト「スタンピード、モンスターの大量発生だよ」
アイズ「…報告しに行こう」
ケイト「うん。まずは瞬間移動で帰ろっか。緊急事態っぽいし」
アイズ「うん」こく
ジャガーノートが4体出た件を伝えると、怪我がないか心配され
ケイトが一掃した件を伝えると…呆れられたような眼を向けられた。
ロキ「やっぱり規格外、やな」
ケイト「でもいい運動になったよ^^」
アイズ「息も切れてなかった…;」
ケイト「お陰でずれも無くなったんだからいいじゃん」
さらりと答えるケイトに、「これだから」と肩をすくめて溜息を零した。
フィン達の気持ち、よくわかる…;