第25章 ジャガーノート
上顎が砕け切った後、衝撃が伝わるようにヒビが拡がっていく中
ジャガーノートは即座に自身の爪でひび割れた部位を自ら途中で割った。
その千切った部位のひび割れは収まらず、切り落とされたそれは塵として残らなかった。
そして怒りの咆哮を上げながら後ろ足を伸ばし、飛び跳ねて突っ込んでくる。
ケイト「近寄らせるかよ。
剛剣術・極、風牙爆裂!」
剣を何もない所で音速で振って空気の塊を作り
それごと押し付けるように横薙ぎに右から左へ払い、壁まで吹き飛ばした。
ケイト「柔剣術・極、砕牙一閃!
(まずは右の爪を倒す!」
空気の塊を一塊の『突き』として左手に持った太刀で繰り出し
如何なる防具をも貫く『破壊の爪』と呼ばれたそれを、難無く砕き切った。
そして振りかかる次の攻撃を上へ弾き飛ばしながら蹴って壁へ叩き込んだ。
ケイト「魔力解放!」
全身を覆い、外に出した分は内を強め、内のそれは外のそれを強める。
互いに強め合い、高鳴り合った瞬間に龍人化のような実体を伴った魔力による新たな身体強化を実現させた。
フードが弾かれたように脱げ、髪に至るまで純白に包まれる。
それを全て刀身に集約させながら
ひたすらに全方位から攻撃を繰り出し続けるジャガーノートに対し
避け続けていた動きを止め、避けた瞬間に右手で爪を掴んで止め、最大の一撃が振る舞われる。
ケイト「風月流奥義!一閃!!」
かっ!!!
凄まじい光と共に繰り出された『突き』は壁をも貫き、横穴を作った。
あまりに深い深い穴で先が見えない。
しかし、生きていると確信していたのか、穴に向かって手招きしていた。
ケイト「ほら、来いよ」
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!」
ケイト「パイオニア、戻れ。
共に生きるぞ」にや
キラン
そう光を小さく出した後、再び二振りの直刀へ戻った。
全身の装甲がひび割れながらも必死に倒そうと立ち向かっていくジャガーノートに、私は尊敬の念を抱いた。
と同時に…無慈悲にも倒されるだろう未来を予期して、哀れみもまた抱かせられた……