第25章 ジャガーノート
ドロップアイテムと魔石を回収した後、ケイトを見ると…
腰にある二振りの直刀、パイオニアを抜いて全て防ぎ切っていた。
ががががががががががががががが
ジャガーノート3匹が同時にケイトの周囲、上下前後左右、四方八方へ飛び回りながら攻撃を続けていて
ケイト自身、無尽に振り下ろされ続ける爪を相手に全て凌いで逸らし、何か呟いていた。耳を傾けてみると
ケイト「爪を全て防ぐ。
骨格と可動域を把握、後に速い動きを全て記憶。相手の攻撃範囲及び間合いを全て把握。
風の流れで次の動きを読み、僅かなブレの方角から察する。
魔石の気配を常に確認、魔力はないのに必要か。心臓のようなものか?
あるから位置は目を瞑っていてもわかる。光速ラッシュに比べれば遅い」にや
虎視眈々と懐へ飛び込んでくるのを待っているようにも見えた。
そして真正面から2匹が同時に突進しながら爪の攻撃を刺突のように繰り出した。
上体を僅かに左後ろへ腰を落としながら下がって爪を避け
同時進行で一匹の顎を左足の膝で蹴り上げながら右拳槌を上から振り下ろして挟み込んで潰して
もう一匹のそれが右真横へ来た瞬間、パイオニアを一本の槍に変化させながら左手で頭へ投げ付けて壁へ突き刺し
その間に後ろから別の一匹の爪が迫っていた。
距離が0になったのは…その二匹が共に、同時に灰となって霧散した瞬間のことだった。
ちょうど左足が地に着いた所で、そのまま両足で地面を蹴って前へ移動しながら
再び左足が地に着いた瞬間に素早く左足を軸にして左回転して避け
右手で左拳を握り締めながら前後が逆になった瞬間、両足の力を抜いて後ろへ倒れ込むような体勢を取り
そのまま左肘を真横に来たジャガーノートの背へ向けて、全体重をかけながら下へ振り下ろすように繰り出していた。
が、勘がよかったのか横っ飛びをしていたようで狙いが逸れ、潰せていたのは左胸だけだった。
ケイト「ふむ…やっぱり魔石は頭だな。来い」
ひゅっ!!
その呼びかけに対してパイオニアが左手元に戻ってきた。
まるで後ろが見えているかのような素早い対応に、私は思わず息を呑んだ。
普通ならば数で倒さなければいけないそれに対し、ケイトの圧倒的な戦いに刮目し続けていた。