第24章 *衝突
きっと彼女は、父親による弊害でできない行為があったのだろう。
捲し立てられる行為、及び叫ばれる行為に対し
その様子を暴言と暴力を幼い頃から振るい続けてきた父と重ね、動けなくなった。
周囲を抱き込んで虐待ではない体を装い、助けを求めてばれそうになれば激しさを増すばかり。
その様はまさにいじめっ子と同じで、無抵抗かつ声を出せなくなってしまった。
長年続いたそれにより、怒っている人には声も出せなくなった。
結果として謝れないまま、自分だけがおかしいように言われ続けた。
障害によるものだと理解も得られず、聞こうともせず、聴き入れようともせず嘘つき呼ばわりされる。
できて当然の側の人間は、したくてもできない人の気持ちを指摘してもなおろくに考えようともしない。
現に街の人達は未だ、ケイトを悪人だと決め付けて貶めている。
本当に悪人なら自分から関わって傷付くようなことを率先してするだろうと言ってもなお、受け入れようとはしない人しかいなかった。
自分は悪くないの一点張り、自分は被害者だと免罪符を振りかざして
悪い奴だと、ひどい奴だと、一方的に言われ、死を望まれた。
その一方的な言われようにも抵抗できなかった。
何とか話してもなお、それごと否定された。マシだと思っていた人も違っていた。
まだ小さい頃は希望を捨てずにいた。いつか現れると信じていた。
しかし何度も何度も切り捨てられた。マシだと思っていた人も同じだった。
何年も経つ内、激しさを増していく内、そうされることが普通として浸透していった。
いじめっ子が大人に謝されてもなお「もういいよ」で済ませた。
どうせまた繰り返させられると知っていた。そう勘付いていた。
結果、それは当たって何度も何度も別の人間が繰り返していった。
ああ、そうか。いるわけがないんだ。
居ない方がいい人間なんだから。傷付こうが泣き喚こうが、どうだっていい存在なんだから。
この世界は加害者に優しくて、被害者には厳しい。だからそういうことやっても平気で笑ってるんだ。
自分には当たれる。当たりたいだけ当たればいい。死ねばいい、こんな身体。
そんな考えに支配され、最終的に彼女は誰にも話さなくなった。
話した所で無駄だと悟り、自分から話しかけることも決してしなくなった。
(リアルでは友達を得た24歳になるまで続いた)