第24章 *衝突
フィン「今死ねば満足かい?」
ケイト「い、…そんなこと、言われても」
フィン「じゃあ問い方を変えよう。
今死んで、君は満足できるのかい?」
ケイト「……」
フィン「他に何かやりたいことはないと言い切れるか?」
ケイト「………」
フィン「君は、そんなに殊勝な人物ではないはずだ。
最近では成りを潜めていただけに過ぎない。
人は欲深い。変えられない環境を憎むより、自分を殺した方が楽だ。誰だってそうする。
それでも君は生きた。生き抜くことで護ろうと躍起になった。
笑い合う人間を見て、それを自分と姉に重ねて失わせたくないと躍起になった。
是が非でも失わせて堪るものかと暴れた。僕達に何も言わずに出て行って、暴れて暴れて暴れ抜いた。
護り抜いたものは大きい。蘇生で生き返らせたことも大きい。
それでも君は一つだけ間違えた。何も言わずに察して欲しいと、会話を無くしたことだ。
人を前にすると声も出せなくなった。恐怖心を抱くようになった。それは環境から染み付いた習慣だ。
けど今は違う。頭ではわかってはいるが、置いていかれた心まではすぐ受け入れられるわけじゃない。
受け入れても受け入れ続けても、またそれは悪夢と共に蘇る。傷と共に息衝き何度でも君を傷付ける。
君は女だ。なめてかかられやすい。ガタイがいいだけに太いと取られることもある。
ぶかついた服装を好むが故に誤解もまた生まれやすい。
だが僕は、僕らは知っている。ちゃんと君という人間を理解して、その上で共に居たいと望んでいる。
そこには確かに利用もあるだろう。だがそれは君もまた同じだ。
心を落ち着かせたい、愛したい、愛されるこの状況が変わって欲しくない、心からの拠り所に安心している。
ここに居ていいんだという想いとは裏腹に、昔の夢が、傷が、似たような状況に陥っただけでフラッシュバックを起こし、それらと共に蘇える。
これらを想定した上でもう一度問おう。
君は…それでもなお、死にたいのか?
アイズもいる。君が愛している存在(ファミリア)もいる。
君が愛しいと、共に居たいと望む僕もいる。
この状況下でもなお望むのなら、言ってくれ。君は何が嫌なんだ?」