第24章 *衝突
フィン「抱いたことを怒った所でどうなる?君の境遇から考えてそうなるのは『自然の摂理』だ。
僕の考えも足りていなかったのも否定できない。
怒りはあるけどね?」じとー
ケイト「うっ;」ぐさっ
フィン「自らの死を望む君にも怒っているけど、それ以上に僕自身にも怒っている」
ケイト「え?;」
フィン「死ぬことが夢だなんて、二度と言わせないつもりだった…←279ページ参照
それなのに、また、言わせてしまった。
思い出させないほど、幸せにする気でいた。それでもまた抱かせてしまったことにね」嘆息&腕組
ケイト「そんな、こと…思って、くれてたんだ」ごしごし←涙を拭く
フィン「それに、以前までのケイトなら…僕達に出会う前の君ならば、目の前の人参を疑いもせずに食べただろう?
育ての家族に受け入れられる前の君なら、迷いも躊躇もなくね。
だから…僕自身の責任もあながちないとは言い切れない。
夫として君を理解したつもりになっていたが、そこまでは把握し切れていなかった」
ケイト「でも…私が心を強く持てなかったから!」
フィン「君の心は確かに脆い」ずばっ
ケイト「うっ;」ずきん
フィン「でも強い。脆い割に、ちゃんと筋を通そうとできる芯の強さがある。
どれほどの理不尽に相対しようが、見舞われ続けようが、人には決してしまいとする強さを兼ね備えている。
強いて言うなれば、諸刃の剣だ。
人を傷付ける際には必ず傷が付く。求めていながらも突き放そうと一時の私情で行動を起こしかねない。
君の環境故に築き上げられてきた性質を知っていながら放置したのは僕だ。
でも…今は、そんな昔とは大きく違うはずだ」
ケイト「!」
フィン「君の心情の変化を、僕は信じたかった。
たくさんの人に触れて、たくさんの考えに触れて…ここに来てからの君は、本当によく笑うようになった。
無邪気に笑って、楽しいことを求めだした。
それまで得られなかったそれを、追い掛けるかのようにね。
街の人達と違うことも知った。
間違えば殴ってでも止めてくれる存在だと、助けてくれる存在だということも…
本当はもう、気付いているはずだ。
何故、僕達が死んで欲しくないと願うのかを――」
ケイト「っ――」ぎりっ
僕の言葉への返事はなかった。
しかし、その代わりにケイトの双眸から一筋の涙が零れ落ちた。