第24章 *衝突
魘される声が耳を刺した。
その音の原因を探るよう、鳴った方へ目を向けるとそこにはケイトがいた。
フィン(…そろそろ起こすかな)すっ
うとうとと眠りについたケイトをソファーに横たわらせ、寝かせてから数十分が経っていた。
先程まで晴れて青空を見せていた空が徐々に曇り、暗い天気へ現在進行形で変わっていった。
フィン「…ケイト?」ゆさゆさ
ケイト「……ぅっ」ぴくっ
揺すって起こした所、とても寝苦しそうに起きた。
フィン「ケイト、そろそろ晩だ。夕飯でも食べに行くかい?」
ケイト「………」
…?
おかしい。
いつもなら数秒と待たずに答えを返してくるはずだ。
だというのに、何故?
その答えは、すぐに目に見えて現れた。
ぽとっ…ぽととっ…
何かの雫が落ちる音がした。
その音につられて目を向けると、そこには…血があった。
フィン「!!」
その出た先を見た僕は、目を見開いて固まった。
ケイト「けふっ…こふっ」
肩を震わせて苦しそうに咳き込みながらも、俯いて右手の甲で必死に口元を押さえて拭っていた。
フィン(何があった!?)
次の瞬間、僕の頭をよぎったのは…その言葉だった。
ケイトが寝ている間に何があった?
敵襲?
いや、仕事をしている間も意識は眠っていたケイトを捉えていた。
誰かが害したのならすぐにその瞬間に分かるはずだ。
だが、それが無いということは…龍人化の副作用か?反動から?
いや、だとしたらこんなに遅く出てくるはずがない。
その日の内、もしくは晩の内に吐血しているはずだ。
僕を庇ったことによって傷が開いた?
いや、それもない。
傷は完全に塞がったとアミッドから聞いた。間違えるはずもない。
なら、何故?
時間にして数十秒…黙ったまま考える中、ある可能性が頭をよぎっていた。
明確な答えが出ないまま…
考えを巡らせながらも口では「大丈夫か?」とケイトへ問い質しており、その背を撫でていた。