第3章 家族として
フィン「「今さえよければそれでなんて…それこそ愚かだ。愚突猛進なんて皮肉に聞こえる」
そう思ったのは、本心からだ)
でも一つだけ、忠告させてくれないか?」
ケイト「?うん。お願いします!」
フィン「ただ、今さえよければ死んでもいいなんて自己満足で動くのだけはやめて欲しい」
ケイト「え?」
フィン「君がやった行動は、自分なんかはどうなってもいいから護りたい。
それはどちらかと言えば「自己満足」で、傲慢なものだ。
今自分は安全な所へいる。街の皆は違う。街は違う。
そこから逃げて、安心したい。何より元凶である自分自身が危険な目に遭わないのは間違っている。
そういう想いもあったんだろう?」
ケイト「…うん。あったと思う。少なからず無かったわけじゃなかった。
ジッとしていられなくて、考えなしに突っ走って、暴れて、暴れて…ひたすら倒してた。目に付いた街の人達を治しながら」
フィン「だからこそ、周りをよく見て欲しい。
ましてや、君の命を軽視して欲しくない。
独りよがりに突っ走って、どうせ治るからと、死んでもいいからと身を投げ出して、傷だらけになって、嫌われて投げ付けられているそれをあえて避けずに、急所だけ外れるよう動いて、それでもなおモンスターに立ち向かい続けた。
はっきり言って、当時の君は街の人を中心に考え過ぎていたんだ。
モンスターをひたすらに蹴散らして、護りたいという想いだけじゃないまま走り抜き続けた。
そんなやり方をしていれば普通なら死んでいるだろうけど、君は違う。精霊の寵愛を持っているからどんな怪我でも時間をかければ治る。
だからと言ってそれを棚上げして、そんな無茶を通り越した…無謀を続けていいというわけじゃないし、いいということには決してならない。
「自分がどうなってもいい」となって、もし死んでしまえば…残された者の気持ちがわからない君ではないだろう?」
ケイト「!
それは…痛いほどわかる」
フィン「こんな想いは…金輪際なしにして欲しいというのが本音だ。
あの街に着くまでの3日間は…正直、気が気でなかった」涙目震&ぐっ!(拳握)
ケイト「!…うん…ごめん、ね」
フィン「うん。気にするなとは言ったけど…変だな(ごし)
気には留めて欲しい、かな。
『万が一』がこれから先、決して訪れないわけじゃないんだから」