第20章 龍人化
緊急馬車の上で、僕にとって右にいるラウルに声をかけた。
今最優先すべきことはケイトの奪還。
最早一刻の猶予もない。
もたついている間に、逃げられるチャンスが0に近付いてしまう。
フィン「ラウル!
君の方が近い!ケイトの右腕を切り落とせ!!」
ラウル「嫌っす!!できるわけないでしょう!?
冒険者にとって右腕は!!」
フィン「無理か…)
なら僕がやる!」ばっ!!
叫んだ次の瞬間、爆太郎の上に乗ったドンが気を利かせて爆太郎の頭の上にしがみ付いて自らクッションと踏み台になり、敵の馬車先まで飛ばした。
ずばっ!!
残党が集まり切る直前、空中で左手に持ち直した槍で折れた部分に合わせて右腕を切り落とし、右腕でケイトを受け止めた。
繋ぎ合わせれば精霊寵愛で、瞬く間に治るのを見越してだ。
「うわああああ!;」ばっ!
「馬鹿!何離してんだよ!!」
「いや、だって腕がっ!;」
「使い道あんのに捨ててんじゃねえよ!!」
ぱかぁん!!←男がもう一人の男の脳天を殴ってる
敵の馬車内に唯一残された右腕は気味悪がった男の手によって外へ投げ捨てられた。
それを即座に拾い上げる中、ケイトの右腕の傷口に切り口を触れさせた。
繋ぎ目は瞬く間に治って繋がった。
しかし…骨までは繋がっているようにはどうしても見えなかった。
そんな最中に場所を確認すると、ダイダロス通りの中でも特に入り組んだ細い路地だった。
フィン「骨折に対しては治るのに時間がかかる、か…(ぼそ)
(魔力もまだ万全ではないこの状況では仕方ない」
ケイト「ぅっ…ぁっ;はあっはあっ;」汗
痛々し気に表情を歪ませるケイトを見やりながら考えた後、再び闇派閥の残党が乗った馬車を見やる。
が、それは止まらず過ぎ去っていった。
フィン(奪還には成功した。どう出てくる?)
ラウル「!団長!囲まれてるっす!!」
フィン「!
(そう来たか!」
ケイトを壁を背に預けるよう横たわらせた次の瞬間、暗殺者は呪道具…
不治の呪いがかかった武器を手に、身を間近へと滑らせてくる。
リヴェリア「【吹雪け、三度の厳冬――我が名はアールヴ】!
【ウィン・フィンブルヴェトル】!」
援軍は駆け付けたのは、槍を構えた直後だった。
細長い通路で、僕達と緊急馬車を護る氷の壁として魔法が放たれた。