第19章 宴
ケイト「フィン…」
フィン「大丈夫だ…今は落ち着いている。
無事で帰ってきてくれて、本当に安心した。よかったと心から笑えた^^
本当に…あの生死の境を彷徨い続けた3日間は、生きた心地がしなかった」わなわな
ぽとっ
雫が落ちていった。
それを咄嗟に拭いて、出そうになる鼻水をすすった。
フィン「ぐすっ…
僕は、それまで人並の幸せというものに関心がなかった。
いや、関心を持ってしまったらこれまでの道のりの全てが無駄になってしまうとさえ思っていた。
全ては一族の為にと…そのことだけを考えて生きてきた。
それを変えてくれたのは、他でもない君だ。
無駄になるはずがない、歩んできたこと全てがなかったことになるわけがないと…今では、強くそう思うよ。
君が、変えてくれた。
生みの父親に殺されかけたとしても、たとえ誰一人として味方のいない環境だとしても
決して憎まず、己を殺し、生き残る為の戦闘に特化させた技術を確立させ、護り抜く為だけに使った。
その君を、幸せにしたいと願った。
決して人を傷付けられない。傷付けることにすら苦しみを感じる君を、そいつらから護りたいと思った。
実直な君の在り方に、何があったとしても貫こうとする『勇気』に突き動かされた」
ケイト「い、いきなり何言って//恥ずかしいよ//;」ふいっ
ぐいっ!!
照れ臭そうに顔を逸らすケイトを前に、両肩を両手で掴んで目を合わさせた。
フィン「真剣な話だ…聴いて欲しい」
ケイト「ごくっ)…別れ話じゃないよね?;」
フィン「はあー…(がくっ)
そんなわけないだろう?
君に惚れた。その一言を、ちゃんと目を見て伝えたかった。
それともう一つある」
ケイト「?もう一つ?」首傾&きょとん
フィン「…君ほど波乱万丈な人生は送ってはいない。
謝れない理由は、君の生みの父親が原因だろう。泣きながら訴えかけても嘘つき呼ばわりされた。
訴えかけたそれよりも謝れと、自分の利益しか見られなかった。
最後の最後に振り絞った言葉を無下にし、なかったものとして扱った。
そんな輩を赦せる人間は、ここ(ロキ・ファミリア)にはいない。
僕は街を滅ぼしたい。でも君は滅ぼしたくないだろう。
だが…君が一言『殺したい』と言えば、願えば、僕等はいつでも殺しに行く。
それだけは、覚えておいてくれ」