第19章 宴
ケイト「ちょっと待って!;
そんなにファミリアに入れることを御所望されてたの?;」
フィン「ああ。
「今逃せば一生後悔する」「今入れなければ死ぬ」とまでロキに嘆願されてね」くすくす
ケイト「私聴いてないよ、そんなの!;」
フィン「それはそうだ。今言ったからね」
ケイト「…肝心なこと伝えてもらってなかったんじゃんか;」ぽつり
フィン「いや…恩恵を刻めばそれほどに違うとわかってもらえるだろうと、敢えて言うまでもないと考えていた。
Lv.5でありながらLv.7の猛者に苦戦した君なら、余計にね。
嫌な思いをしたのなら済まない」
ケイト「う…;痛い目見ました;」
フィン「はははっ^^
それはそうだろう。
Lv.6が三人がかりでようやく押さえられるぐらいだからね。
だからこそ…その先が見てみたいと、余計に思わされた」
ケイト「あの…別に謝るほどのことじゃないよ…;
言ってくんなきゃ察せない方だからさ、私は」
フィン「なら言おう。
誰も、Lv.6の全力に打ち勝つなど思いもしなかった。
人間という可能性を、その戦いの中に見た。魅せられ、強く惹き付けられた。
それも、ありありとね。
アイズは全力で戦った。攻めた。手加減抜きで、君を倒そうとした。
その全力の猛攻を流れとして捉え、悉く全てを防ぎ切ってみせた。←8~18ページ参照
僕の目には、『希望』として映ったよ。
負けられないと、一度も攻撃をまともに食らわず防ぎ続け、強く足掻き続けて勝利を収める所なんて特にね」
ケイト「えっと…人間って身体の構造がわかってれば普通に読めるし対処できるよ?」
フィン「!…どういう理屈で?」
ケイト「だって、人間の身体はね…
こういう風に合掌するみたいに、内側に力を一番強く発揮できる構造になってるんだ。
右腕や右足だと左に、左腕や左足だと右にって感じにね。
人という身体は『こういう造りなんだ』って、私は理解した。
だからそれを利用して編み出したのが、『風月流』という私独自の武術なんだ」
フィン「なるほど…
理論上、体のつくりを把握することで最大の力を一瞬で効率よく発揮させて凌いでいた。
右手から繰り出される攻撃は必ず、相手から見て常に右後ろに移動しながら避けるか、左手に持った短剣を添わせながら右回転して右へ叩き逸らしていたのはそれでか…」