第19章 宴
フィン「実は…嘘なんだ」
ケイト「え?」
フィン「『メリサは確かに、『勇気』を持っていた』←630ページ参照
あの言葉は、嘘だ」
ケイト「…え…ええええ!?;」
フィン「実際は…違うんだ。
子供を庇って死んだと言ったのも、『勇気』を抱いていたという言葉も。
僕の嫁となる伴侶もまた『勇気』を持っていなければいけない、そう感じさせるきっかけになった相手だった。
嘘を付いてしまって済まない。
君を嫉妬させたいがばかりに、ちょうどいいと考えて言ってしまった言葉だ」
ケイト「いや…それは別にどうでもいいんだけど…
私が死んでもいいとか満足したこととか、そう考えたことに怒ってたんじゃなく?;」
フィン「ああ」
ケイト「てっきりそのことかと思ったよ;はあああ;」←ほっとすると同時に肩を下ろして安堵の息をついた
フィン「はっきり言うと…君がそう思うのも仕方ないと理解しているからね。
だからと言って、死んでいいと思っているわけでもない」
ケイト「うん…わかってる。絶対にもう思わない。
精霊寵愛が尽きるその瞬間まで…足掻いて足掻いて、足掻き続けてやる!」真剣&きっぱり
フィン「!」瞠目
ケイト「?どうしたの?」
フィン「いや…君を選んだことは間違いじゃなかったと、ふとそう思ってね。
君への第一印象は、なんて清廉な人なんだと思った。同族ではなく、ヒューマンという目で見ていた。
君のアイズとの戦いで見せた『勇気』は、それまでに見せられたどの勇気よりも凄まじかった。
ベル・クラネルのミノタウロスの時よりも激しく、熱く、この胸を高ぶらされた。心から魅せられた。
それほどに…恩恵もない人間と、Lv.6の差は『顕著』なんだよ。
逆立ちしようが天変地異が起ころうが決して勝てはしない。
魔力操作に伴う強化、技術、それがどれだけあっても…決して釣り合わないほどにね……
それでも君は勝ってみせた。最後の最後に、強力な一撃となるそれを防ぎながらカウンターを決めた。
誰もが無理だと思う限界を、突破してみせた。君の中に、可能性を垣間見た。
よくやった!と、心が突き動かされた。
魔法も抜きで、死力を尽くして…その姿に、僕は心から感服した。
親指も疼きが止まらなかった。この人しかいないと強く思った。
けれどヒューマンだからとブレーキをかけたんだ」