第18章 絶対安静
ケイト「それらも込みで感謝してたんだ。
それがきっかけで…精霊は実体を失って、《精霊寵愛》となる道を択んだ。
精霊のその力が身体の細胞にまで宿ったのなら、その力ごと治癒を強化していく内に『弱まったそれを強化する力』として残ったのならば、呪詛が消え去りにくかったのにも合点が行く。
他の人なら【セイント・ジャベリン】で一瞬で浄化して無にできてたから。←513ページ参照
私は…幼い頃、何かを強める力なんて使えなかった。
使えたとしても、精霊寵愛としてではなくただの一体化の時だった。
だから…その……」
フィン「ケイト、アミッドの持つ予測はこうだ。
『5歳半に《精霊寵愛》によって『血に常に傷を治す為の力が、肉に体欠損回復、骨に状態異常回復といったように効果が分けられており、『全身が同時に消滅しない限り』死なない』という効果があった。
毎日欠かさずその頃から大気中から魔力を精霊を介して体内へ取り入れつつ、体内で保有する魔力量、すなわち器を10年近く拡げ続けていった。
その日々強大となってゆく魔力に耐え続ける為、魔力自身が毎日細胞に『力を強める』という効果を示し続けていたのだと、今回の件を以って証明された。
魔力の性質は『浄化』でありながら、人や物(特に自身)に対して使用した際に示す効果は『強化(倍加)』。
その魔力を生み出す細胞自身もまた、毎日生み出し続けるという過程を以って魔力の持つ性質と効果が浸透。
その結果、無になりかけた際の呪詛が引き起こす『驚異的な悪あがき&増殖』へと繋がったのだった』←566ページ参照
そして僕達はこの強める作用を、ケイトの魔力の本質と捉えた。←583ページ参照
つまり、これらの情報と君の持つ情報が正しければ…
魔力と君の身体、その両方に精霊の持つ『力』が宿っているということになる」
ケイト「うん。それでまず間違いないと思う」
フィン「持っているだけで負担になったのは考えたこと、
特に明確なイメージを固めると、目の前で何でも実現されるからかな?」
ケイト「うん。そうだった。
幼い頃は水が欲しい時すぐ空中に出てきたぐらいだったし、自分で制御もできなかった。
量まで考えてなくて洪水みたいになったから、しこたま叱られたなあ…;(ずううん)
精霊寵愛で一体となった後は欲しい分だけ、完璧にできるようになった」
