第18章 絶対安静
どこまでも彼女は純粋だ。僕はそれに救われている。
打算や利用、画策、それは常に付きまとうものだ。
だが…彼女ときたらどうだ?
常に付きまとう下卑た目、行動…その中でもなお、その純粋さだけは持ち続けてきた。
決して決め付けず、共に在ろうとしてくれた。
純粋過ぎる好意に、真っ直ぐ過ぎるそれに…僕は笑った。
気付けば心を開いて、惚れていた。僕以外の異性が隣に立つことを赦せなかった。
ケイト「…うーん」
フィン「?どうかした?」
ケイト「んーーーー」
フィン「?
さっきの僕の行動が気に食わなかったなら謝るよ。済まない」
ケイト「ううん。そっちじゃなくって…
私さ、龍の力をさっきから出そうとしてるんだけど出ないんだ。
魔力は出せるけど小さいし、精霊の力も若干弱まってる。
ドラゴン・ソウル状態の前、ホワイト・ノヴァ程度でさえも出せない」
フィン「そう言えばドラゴン・ソウル自体、魔力の密度が異常だったね。
そもそも宙に浮くほどの全身からの魔力放出なんて常人には出来ない」
ケイト「うん。
魔力吸収自体、精霊に手伝ってもらって自然とできるよう会得したものなんだ。
それで魔力吸収を精霊と私自身で同時にやってるんだけど…中々回復しなくって;
魔力自体に龍の意思はちゃんと宿ってるし、意思疎通もできるんだけど…
どうにも量が足りなくって、精々オラリオ全土を一発で爆砕する程度の魔法しか出せない;はああ;」腕組&溜息&ずううん
何故本気で沈み込んでいるのか聞きたい。
そして一体…ドラゴン・ソウルはどれほどの?;
フィン「……済まない。君の基準がわからない。
その魔法の何倍がドラゴン・ソウルに匹敵するのか教えてくれないかな?」
ケイト「えっとね…
ざっと……100億倍?
オラリオ全土を建物ごと空間レベルで消失させる魔法を100億発分が、ドラゴン・ソウル状態」
フィン「……もしかして消耗というのは…;」
次の瞬間、嫌な予感が形を成した。