第18章 絶対安静
ケイト「約束破り!!//
フィアナに代わって天誅を!食らええ!!//」ぶんぶん←パイオニアを大剣に変えて浮遊で重量を無にしながら、必死にフィンへ向けて振るう
フィン「あっはっはっはっ^^//
済まない。許してくれ//」にこにこ←ひょいひょい避けてる
ケイト「誰が赦せるかああああ!//(ぷんぷん)
せめて一発食らえええ!!//」ぷりぷり
子供の頃、そんなやり取りをしたことはなかった。
ケイトも、僕も、その両方が共にしたこともない行為だった。
こんな風に時間を過ごせる時が来るなど、昔では思いもしなかった。
心が解放されて、こんなやり取りがどこか楽しく、笑えて仕方なかった。
本人は極めて大真面目なのだろうけれど…それでも、それごと楽しく、幸せだと心から想った。
それはケイトも同じようで…後になってからだが、楽しかったと僕とのやり取りを振り返ってくれた。
「そうか。それはよかった^^//」と返すと、ケイトも耳まで赤らめながら頷いてくれた。
ここまで、心境に変化が訪れるなど…誰が思っただろうか?
野望以外、僕にはなかった。
居場所もファミリアも、延長線上のものでしかなかった。
ファミリアに思い入れはあっても、最優先事項は小人族の再興と嫁探しだった。
そうして価値観が変わった…目標が変わった。
今の最優先事項は小人族の復興、ここまでは同じだ。
新たに加わったのは…『ケイトとの未来』だ。
嫁探しは初恋と変わり、初恋から嫁となって…その未来を、第一に考えるようになった。
失いかけたからこそ…共に過ごすこの日々を、『二人の時間』を大切にしたいと願った。
常に被っていた仮面…それは失いかけた時に平静ごと吹き飛び、感情が剥き出しになった。←543ページ参照
感情所か激情が発露し、両親を失ったあの日以上に涙が溢れて止まらなくなった。震えが止まらず泣き叫んだ。←544ページ参照
彼女と居る時は、彼女の前では、団長としてでも、勇者としてでもなく…一人の男としていられた。
そんな自然体でいられる存在に…お互いが、共に救われていた。
だからこそ願った、失いたくないと。
野望と共に『彼女を守ること』に身命を捧げたいと思った。
ここまで変われたことに感謝した。
この幸せは、人生で最も大きな『唯一無二』のものだから。