第18章 絶対安静
真剣に聴き入ってくれた。
どこまでも純粋な『想い』を向け、言葉として返してくれた。
恐らく過去を打ち明け、知ったとしても、それごとロキ・ファミリアは受け入れてはくれるだろう。
だが…ケイトのように接してくれるかはわからない。
行動を、態度を、その目で見て向かい合ってくれているのは全て承知の上だ。
だが、それでも…ケイトでなければ、ケイトに出会わなければ、このように考えることも無かっただろう。
原点に立ち返ることも、ましてやそれを伝えようとすることさえも無かったはずだ。
だからこそ…余計に想う。
君がいてくれて、本当によかったと。
恐らく僕は…ヒューマンのような体躯であっても、小人族だと見抜いていたんだろう。
頭では見抜けなくとも、少なくとも『心』では。
そうして求めた。
互いに求め合って、互いの存在に恋に落ちて…
こうして…結婚まで漕ぎ付けた。
フィン「ケイト…君は、僕の人生で最も…大きな存在なのだろう。
希望と映った両親に匹敵するほどに……いや、それ以上に。
だからこそ、何度でも想う。護りたいと、愛したいと、共に居たいと…
何度でも恋焦がれ、愛しさが込み上げ、止まらなくなる……
それでも…僕の野望は、決して無にはならないだろう。
これからも、『フィン』として生きていく。
君と共に生涯を添い遂げる男として…受け入れてくれないか?」
ケイト「当然」こく
何を言っているんだと言いたげな表情に、僕はありがとうと返しながら笑った。
それらの僕の抱く『想い』を深く実感しながら、僕は日の光が指す部屋の中で…
再び涙を浮かべながら、すぐ近くにあるケイトの唇へ吸い付いた。
もう二度と…あのような痛みは御免だという想いも、共に乗せて――