第18章 絶対安静
ひとしきり笑って満足した後、僕は説明した。
フィン「普通の人は、命を賭してまで食料を確保しようとはしない。
少なくとも毒魚に手を出してまで食べようとはしないだろう?」
ケイト「何千回も頑張って完璧に身に付けたんだよ?
逆に次の動きの読みと共に時間確保ができずにいた場合、気付けば水の中で慌てたけど…;」
フィン「ぶふっ!//」
ケイト「あーもう!;笑うの禁止!;
私としては本気だったんだからね!?;」
フィン「ま、まあ…とりあえず、たくさんの武器の使い方を知ったわけだ。
さてと、そろそろ話を戻そうか」
ケイト「あ。ごめん!;脱線してた;」
フィン「大丈夫だ。
そもそも話を振ったのは僕だしね。いい息抜きになったよ(くす)
君はどうにも、聞いてて楽しいと思わせられる」
そう目を細めながら笑うと、ケイトは真面目に言っていたようで若干むくれていた。
それが余計に可愛らしいと駆り立てさせていることには、全く気付いてないのだろうね?^^(くすくす)
ケイト「でも…何で名前を変えることになったの?」
フィン「ああ。そこからだったね。
駆け付けた他種族が、両親を屠ったモンスターを倒した後、僕は叫んだ。
この世に生を受けてから感情が爆発したかのように、気付けば叫んでいた。
大人の制止を振り払い、涙で濡れた両親の躯の前から駆け出し、森を衝動のまま走っていた。
空から降りかかる雨にも構わず、何度も転んで立ち上がって走り続けた。木の枝などで切り傷を負っても無視した。
川べりに辿り着いてもなお、涙は止まらなかった。
一人で泣き続けた。空へ向けて。
君を失いかけた時も、同じように感情が発露した。
まだ失っていないというのに、何もできない状況が歯がゆくて、また護れなくて、涙が止まらず、泣き叫び続けていた。←544ページ参照
手袋の先が破れるほどに強く握り締め、爪がつき立てられた掌から血が零れ落ちていく中、必死に自分を戒めた。
そして一人きりになった時、泣き叫ぶそれを抑えられなかった。
それが今日、ティオネが言っていた涙の件だ」←607ページ参照
そうして…僕は、ディムナという名以外の全てを捨てた。