第18章 絶対安静
あくまで白を切るつもりか…
フィン「…そうか。
なら、その懇意に預からせてもらうことにするよ^^」
フレイヤ「ええ^^
彼女はこちらの部屋にいるわ。会ってあげて?
と言っても、まだ寝ているわけなのだけれど」
フィン「まだ目覚めたばかりだからね。
いずれこの借りは返そう」
フレイヤ「いいえ。
私としてはケイトとの3日間がお礼よ。
ケイトを丸々独占できるのだもの」ふふっ
食えない神様だ。
そう笑みを浮かべる神フレイヤを前に、僕は思った。
恐らく、神フレイヤはロキ・ファミリアの現状を把握しているはず。
そうでなければ、あれほどの好条件にする理由が出ない。
ただでさえケイトは絶対安静の身で無防備だ。
警備が手薄となっている今、襲われれば一溜まりもない。
だからケイトが襲われる可能性を下げつつ、襲撃を徹底して防ぐ為。
3日独占はおまけだと考えた。絶対安静の期間と被るのもその為だろう。
それを聞いたロキ達も、この考えに納得していた。
この次の日、4月23日にギルドはある情報を公表した。
【ロキ・ファミリア】【フレイヤ・ファミリア】間において結ばれた、正式に同盟を締結したという情報を。
その情報が世間を大きく騒がせたそうだが、気に掛けている余裕など無論ない。
案内された部屋に入ると、そこでケイトはまた昏々と眠っていた。
神フレイヤによると、彼女の身長について話し合ってみた所、ヒューマンのような体躯となった理由の詳細がわかったそうだ。
生みの父親から見下ろされながら何度も何度も暴力と暴言を浴びせられてきた。
その内、気付けば見下ろされることが嫌いになり、恐れるあまりに身長を父よりも上になるように望んでいた。
その想いを受けた精霊が、彼女のクリエイトを自然とそう働きかけるようにしたのだという。
それに加えて、『育ての家族に差別されたくない』という想いが決定打となって、ヒューマンのような体躯になったというそうだ。
ロキは既に知っているようで、ケイトの英雄譚の第二版にも書かれていた情報らしく、今日ケイトと話したことで確証を得たというわけだ。