第18章 絶対安静
ケイト「って待って;
というか…その…13歳頃からさらに一気に伸びてった理由はそれなんだけど。
10歳以下の時にヒューマン並の速度で身長が伸びたのは、多分父親の件もあると思う。
見下ろされてドカバキされてたから、余計に…そういうのが、怖いって感じて」おず
フレイヤ「なるほどね…」
ケイト「それで…始祖神って一体?;」
フレイヤ「まずは、あなたの魂の生い立ちから語らないといけないわね」
この世、あの世として上に位置する幽界、その横に位置する霊界、その霊界の下に位置する地獄、霊界の上に位置する神界…神界は天界とも呼ばれているわね。
そういった全ての世界は、一つの神から作り出された。
魂という存在、それを無から生み出す力、下界での修業法、ありとあらゆる世の理、神に至る全てのものを生み出した『神』がいた。
それが全ての始まりとされる神…『始祖神』。
フレイヤ「最初は、それこそ無の何もない空間だけだったのよ。
そこで生まれ落ちたのが始祖神で、男でもなく女でもないその神はゼウスを始めとしてたくさんの神を造り出した。
そして…2800年前、寿命を全うした始祖神は死んだ。
それと同時にその消えた亡骸の中に生まれ落ちた魂…
つまりは『始祖神の生まれ変わり』。それが、あなたよ」
ケイト「はい!!?;」
フレイヤ「そしてあなたは…いえ、正確には前々世が…
最初の下界での修業、あの勇者アルルェーチェだった」
ケイト「え!!?;」
フレイヤ「それから
ケイト「前世は極東の足軽だったのに!?;それも戦国の世の!:」
フレイヤ「ええ。その通りよ。
そうして何の因果か、ヘレイオス街に産まれた。
アルルェーチェの生まれ変わり、ひいてはその末裔の直系として。
人間はね、邪な心を捨てられないの。どうあっても、その考えを抱いてしまう。
欲求のままに奪い、傷付け、排除し、相手よりも己を優先する。あなたが街の人にされてきたようにね」
ケイト「!」
フレイヤ「そんな輩ほど魂の位、ひいては徳が低い。
と言っても、その下界での行為を評価されるのは死んで幽界で記録を暴露された上でのものなのだけれどね。
…早い話、あなたのような位の高い純粋な人がここに来ること自体、珍しい物なのよ。
だから人と違うものを排除しようとする人の風習から、あなたは非道な扱いを受けた」