第17章 雨
ケイトへ歩み寄りながら神フレイヤは現れた。
不意に降りかかる発言に、深読みすると共に身構えながら得物を手にケイトの前へと立ち塞がった。
ケイト「え?;皆?;」おろおろ
アミッド「状況がわかってないのはあなただけですよ?;はああ;」溜息
フレイヤ「あら。
ごめんなさい。勘違いさせてしまったかしら?
何も今生の別れというわけではないのよ。
約束は守るわ。今日を含めて3日間、ケイトを預からせてもらう『だけ』」にこ
ロキ「だけを強調しおって…益々胡散臭いわ)
(じー)……その間に変なことせんやろうな?」
フレイヤ「誓ってもいいわ。
そうでなければ、わざわざ護衛なしで来るわけもないでしょう?」
『……』
その言葉に、目を合わせながら互いに頷き合い、得物を下ろした。
あくまで警戒は解かないでおいた。
フレイヤ「それに…ケイトは、ゼウスの後胤なのでしょう?」
『!!!』
フレイヤ「それも龍神との子、遺伝子の中に宿された『龍の力』を覚醒させただけでなく
先祖の隔世遺伝、神の力の一端を先天的に魔法として如何なく自在に扱いこなし続けていた。
その上、その神の力の一端で精霊まで下級から上級…大精霊の域まで進化させ
急激過ぎる進化に身体は耐え切れずに失った彼女は、このまま消えゆく身ならばいっそと…
彼女の中で『精霊寵愛』として生きることを選んだ。その副次効果として『精霊導』まで身に付けさせて…
そこまでが私の知り得た情報。
ヘレイオス、いえ…こう言おうかしら、『英雄アルルェーチェ』の末裔――」
ケイト「んー…どうしよう?;」ちらっ←フィンを見やる
フレイヤ「ふふっ^^
大丈夫よ、既に人払いは済ませてあるわ。
あなた達以外には誰にも聞こえないし、ましてや聞いている人もいない。
ロキに提案した3日も、ただの取引でしかないのよ」
ロキ「問題はその先や。
何で今になって同盟や?」
フレイヤ「……あなたに言わなければいけない理由がないわ」
ロキ「ちっ」
フレイヤ「敢えて言うなれば…そうね。
気まぐれでないことは確かよ。
周囲にいいように歪められてきた、それでありながら真っ直ぐで、人には決してしない…
そんな、『高潔』とも言える彼女の魂に惹かれた…
魂が震え、喜びを感じた。心から愛しいと思った。そんな彼女に近付きたい。
それだけよ」きっぱり