第17章 雨
第一目標は闇派閥の今使っている本拠地の把握。
ダイダロス通りの見取り図については、例のマップ装置(285ページ参照)を実験として使用してもらった。
虱潰しに探したがいない。念の為に人造迷宮に繋がる場所を警備してもらっている。
となると、十中八九地下水路だろうがそうは言っても拡い。
人造迷宮と繋がる旧式のそれまで含めれば特に…
完璧に全てを同時に調べること等、ケイトにしか出来ないだろう。
そして第二目標は…『鍵』の確保。
闇派閥の証明ともなるだろうそれは取っておくべきだ。
それについてはロキが何か掴んだのか、神フレイヤと話を付けに行くと出ていったが、果たしてどうなったことやら…
まず今すべき最善策は逃げ道を塞ぎ、進んでくる方向から逃げ込む場所がどこかを見極めること。
そこに恐らく、例の二つの神…神タナトスと神イケロスがいるだろう。
今逃せば、次捕まえられる機会まで先延ばしになり、事態の解決が遅くなる。
ベートにはアイズがついていくだろう。ならば僕達は警備に専念しよう。
そう思考を纏めてから右手の親指の腹を舐め、周囲に指示を出した。
フィン「ベートを『囮』に使う」
『!!』
フィン「ベートのことだ。
あんな仕打ちを受けて黙ってられるはずがない。
十中八九、ヴァレッタ達に報復しようと一人で動くだろう。それも派手にね。
僕達はそれを『陽動』として、彼に引き付けられている間に敵の退路を断つ。
そして彼女達の持つ『鍵』を奪取し、逃げ込もうとした方角から現在の本拠地を探る。
ダイダロス通りに監視を置け。
人造迷宮と繋がる旧式の地下水路には僕が陣取る。
敵のアジトと繋がるダンジョン第二の入り口を利用しようとも、バベルに団員に残しておけば迷宮にも降りられない。
闇派閥との因縁もここで決着を付ける。
ラウル、ここに任せるようガレスに伝達を
ティオナ/ティオネ『フィン!?;/待って下さい団長!』
フィン「止めるのかい?
顔を合わせるのも嫌なほど嫌ってたんじゃないのか?ベートのことを」
ティオナ「でもっ…こんなの、おかしいでしょ!?」
ティオネ「仲間を助けるのがファミリアじゃないんですか!?
メレンの時だって、団長達は私達のことを助けに来てくれたじゃないですかっ…!
あの馬鹿狼だって!!」
あくまで食い下がる、か…