第95章 神(しん)
あの当時、肺炎が治った後でのことだった
ナビィのこと、その記憶があった(取り戻した)こと
その当時の胸中を——知ったのは……
それからすぐのことだった…
ケイトが風邪を引いたのは…
それが回復した頃には…卵(創世神の神域の神卵)が孵った
それまでは…
ずっと…
ずっと
コンコンと寝入っていた
顔を赤らめたまま
熱も下がらず
弱りに弱り、衰弱を重ねていた
何故怒鳴らない?
何故怒らない?
何故…ベル・クラネルを嫌えと言わない?
殺せと願わない?
布教しているものを消さない?
漫画もアニメも小説も
それに加担した全てを作者ごと全て消せば済む話だ
問答無用でやってもいいはずだ
なのに何故…?
君が消えてゆく様を見続けていなければいけないのか…
その不条理に……
涙が、怒りが、血の涙が、握り締めた拳の震えが…
収まることは決して無かった
いや、今も無い
他の人にも同じ想いをさせたいか?
否
だからやらない
そんな単純な話で済ませられたなら
どれだけ楽だっただろう!!
どれだけ…心を収められただろう
そんな軽く出来ないから、こんなにも苦しんでいるのに!!
ケイト「大……丈…夫」
息絶え絶えながら
左手を伸ばす
ケイトから見て左側に立つ僕へ
笑い掛ける
安心させようとするように
それが却って…(ぎっ!!)←歯軋りを立てる
僕を苛立たせるばかりだった
額に冷えピタを張り付けたまま
苦しそうに目を閉じる
額から汗を流し、なんとか……眠りについた
ケイト「ケイトを殺してくれてありがとう」微笑
フィン「!!」瞠目
ケイト「はあっはあっ←天を仰向けのまま見つめる
(にこ)←力無く全てへ向けて微笑する
楽しいね
嬉しいね
幸せだね
人の消える分を増やして
自分では一切支払わない
現行犯さん、いっぱいいっぱいありがとうね^^
いっぱい証明してくれたね
あなたの本質を、癌の深度を
二度と生まれてこないでね
永遠に、ずう〜っ!!と!!ね^^
嘆かわしい
この状況に怒るのも詮無き事
うぬらの想い等、ひとつとして届かんわ
響くことすらな
こちらのこと等…
所詮生贄
所詮容れ物(いれもの)
所詮道具
所詮…無になるだけ」
がくんっ
ばたっ
不穏な言葉を残し、意識を手放した
それだけのこと…と、最後に残して