第17章 雨
悪くないなんてケイトは思っていない。だから仕返しもしなかったんだと思う。
周囲はそれにかこつけてもっともっと痛い目に遭わせてきた。だから人に囲まれるだけで怯えてる。
対人恐怖症だって、リヴェリアは言っていた。その習慣でのトラウマによるものだって…
モンスターから護る中でも、剣や石を投げつけていた…
それを謝りもしないまま、街の人達は自分達が正義だと思い込んでいるのかもしれない。
最後の最後で英雄としてケイトを祭り上げる為に街長とすることを引き合いに残すよう言われたらしいけど、フィンが断ってた。
こんな街には置いていけないって。私も同じことを考えてたから頷いた。
その頃までにはベートやロキが散々罵っていたからか、大人しくなっていた。
でも0になったわけじゃないんだけどね…
「誘拐犯め」と言う輩に、フィンは言った。
フィン「ああ、そうだ。家出娘を生涯預かる気のね。
君達がしたことに比べれば可愛いものだろう?
君達が彼女へした罪は遥かに重い。
名誉毀損罪、侮辱罪、脅迫罪、傷害罪…言い上げていけばキリがない。
嫌がらせをたくさんしたものだね。
説明されないと悪いことをしたとさえもわからないみたいだから、ちゃんと噛み砕いて説明してあげよう。
「あいつは~~だ」「あいつは~~なことをした」などとからかうのは名誉毀損罪。
その内容が本当かどうかは関係ない。
「バカ」「デブ」「ブス」「きもい」などとバカにするのは侮辱罪。
「殺す」「死ね」「来るな」「消えろ」などと怖がらせるのは脅迫罪。
相手が精神的にまいってしまうことがわかっているのに『わざと嫌がらせ』をして病気になれば傷害罪。
彼女は鬱という病気を負い、それ(鬱病)をも通り越して障害を残してしまった。
今も自分が死んだ方がいい人間だと自らを責めることに躍起になっている。
さて、君達加害者は声を揃えることで通らせるのが趣味のようだけれど…人を訴えるのなら君達も訴えられる覚悟を決めてくれ。
君達の罪の方が、彼女の犯した罪よりも何倍以上も重いのだからね^^」黒にっこり
『ぞっ!!)!!;』
ロキ・ファミリアの名は街にも届いてたみたいで、その後ろ盾目的だろうってフィンは馬車の中で言っていた。
あんな街で暮らしていたら…そう考えただけで重い気分になった。