第17章 雨
ティオナ「こんな雨の日だったなー」ぼそ
雨が降る中、私は呟いた。
「小学生みたいな言い訳しやがって!」
「騙されてんじゃねえよ!!」
街の人達は、ケイトに対する評価を言い放った時にそう言ってきた。
自分達が一番小学生みたいで、頑なに駄々っ子のように喚いていることに気付いてさえもいないみたいだった。
いや、気付こうともしていなかった。
街中でドロップアイテムや魔石を集めている時、ケイトのことを散々に言っていた。
それに対して我慢できなくって、人に対して自分から話しかけられないことを言った。
記憶がなくってもそれは変わらなくって、自分から話し出そうとは頑なにしなかった。
疑問ができた時とか、質問して聞かなきゃいけない時とか、人に話しかけられた時だけ…
どうしても話さないといけない時だけしか、ケイトは口を開かなかった。
声を出せないことを知ったのは、記憶を取り戻してから後。
何か伝えようとしていたけれど、声に出ていなかった。
慟哭以外、何も出せていなかった。
そんな状態のことを伝えた。育ってきた家庭環境も含めて…
なのに、返ってきた言葉はどれも……
「知るか!!」
「後になって言い訳してんじゃねえよ!」
「話さねえ言い訳だろ!」
ティオネ「そんな強気に話されたら話し出せるわけないでしょう!?
そんな風に一人を囲んで捲し立て続けた状態の中で話せ!?何考えてるのよ!!」
ケイトが何をしたのか聴いてみると、どれも些細なことだった。
確かにされれば腹が立つことかもしれないけど、一生そういう風に続けていい理由にはならないって思った。
でも街の人達は違うみたいで、全然話が合わないし…話にさえもならなかった。
気に入らなければ高圧的に喚いて話せなくしてくるし。
あんな中で育ったら…そりゃ、ああなるよねえ。
可愛そうなぐらい、見てられないぐらい、ケイトは怯えているように見えた。
記憶を取り戻した後で泣きじゃくるケイトに「きっといいことがあるよ。一緒に見つけていこう!」と言って、抱き締めた中でも
殴られると思っているのか身構えて、狂ったように慟哭を上げて泣き叫び続けていた。←38ページ参照
最後は安心してくれたみたいだけど…それまでが、とても見ていて苦しかった。