第94章 創傷(そうしょう)
どれだけ心を強く持っても
浪費者が居る限り、消滅は不可避と知らしめられた
全ての心の中に生きている
想いの中に、『神の因子』として…
『命と自我と記憶』を対価として、半グロ化から、癌化から、全てを守り抜いた
すなわち……全てに植え付けられた『神の因子』、それらを対価として差し出せば…あるいは……
【貴方は…己が消滅しても……
その可能性が生じても…
蘇らせたいですか?】
暗転した風景に白く文字が浮かぶ
頭の中に声が響く
白の国からの言葉が――←4553ページ参照
「どいつだあああああ!!」滂沱
「だれがやったあああああ!!?」血眼
「おのれかあああああああ!!!」刀を群衆に向ける
咽び泣きながら
半グロ探しを決行されていた…
互いに刀を向け合い、疑心暗鬼に駆られる中で…
泡のように消えていい存在じゃない!そんな最期を迎えていい存在じゃない!と言葉を向けて、涙を流して叫び狂う民衆達……
しかし…それを遮るように白の国から通達がなされた
今も…まだ、生きている
欠片となって、なおも…守り続けている
生きている……
守る為に――差し出したものを
『たとえ魂が滅ぼうとも想いは死なない…必ず守る』←5161ページ参照
物事は…流転する
己が身を削り、神の因子と変換し、植え付けて、与えて回った
守る為の根幹を…全てへ――なんの見返りも無く
『命と自我と記憶』とは『神の因子』
それを対価とすることで…二度と戻らないことで……
自分が自分では無くなる感覚に強いられる中で…変わらず、笑いながら消えて行った――
その答えに…皆の動きは早かった
犯人探しよりも差し出すことに専念し出した
互いへ向けていた剣を誰からともなく収め
身を翻し、神像へ向けて猛るように叫び狂い出した
その身から迸る『神の因子』
実在化の為に、守る為に、捧げられた『ケイトの心の欠片』
それらが徐々に形を成し、集ってゆく――
『たのむ!』
『いけ!』
『まもってくれ!!』
『こんどはおれたちがまもるんだ!!』
そんな声が口々に聞こえ発せられる
それらの想いが結集するのに…
然程時間は掛からなかった――
数秒も経たない内に…無防備となり、同時に半グロは全て消え……
――そして―――消えた命が灯る