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Unlimited【ダンまち】

第94章 創傷(そうしょう)





無理してまで合わさなくていい


そう氷河の心を持ってもなお…
浪費癖は治らなかった

世界中の――


もうどうにもならない…
殺しに掛かっている実情は

何も揺らぐことは無い


反省も何も出来ない心なのだから…仕方が無いのだから――



そう言い聞かせるかのように…何度目かの通告をした



そして眠りにつかせた――


これ以上、要らぬ負荷を掛けない為にも――



ケイト「全部…

全部、全部…無駄だったね…」


フィン「……そうだね

全部…無駄だった」

ケイト「なにも…かも……

おなじだった

まったく…すべてが……


いてもいなくても…
なにも…かわら…なかっ…たな」
かくっ
気絶するように意識を手放し、眠りについた


フィン「とりなすことすらも出来ないのか」

『うん
無理』きっぱり

初代「どう在っても…無理」

龍神「不可能だ…
取り返し等…付くはずも無い」


明朝

最終段階――

魂の死
それに伴う現象が、始まっていた…

全身が薄くなり、透明になって透けてゆく

最終的には空気に溶けて消えてゆくとのこと……


淡く光の粒を発しながら………

徐々に朽ち果て、消えてゆく


ケイト「眠たい…」

空気が抜けるように…
中身が零れ落ちては光となって溶けてゆく


死ぬ間際…
眠るように力尽きる

そんな死に際の時のように――


ケイト「長生きして欲しい
幸せで居て欲しい…

どうして…そんな些細な願いさえ叶わないんだろう」

涙を流し…一言ケイトは呟いた


どの世界にも…
必ず基(もと)となる存在が居た

しかし……それでもなお…存在出来ない時…
実在化出来ない時――己が身を対価とし、身投げすることで、実在化を叶わせる

そして…――本体と同じ自我を持った存在・ケイトがこの世に産まれることとなる


実在化の元となる楔(くさび)として――


遣わされた分体が死に、消え…二度と生まれない存在となった時点で
そうなる(ケイトがこの世に産まれる)

そして…それすらも消滅した折、役目を終えて全てが消え失せる


ケイト「役立たずでごめんね…」

その声に頭を振った
涙の粒が宙を舞う



また…


また……

世界は…自分達だけが無事であるように立ち回る


自由に――思うが儘に、死にたくないと



自分達だけ


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