第94章 創傷(そうしょう)
ケイト「2度目だからわかる…
全て、無駄だったと…教えてくれてありがとう(微笑)
本当に…よかった^^」
どちらにせよ――同じ最期(末路)、路(みち)を辿るのだから
目を細め…
幸せそうに笑った
一度も、二度も…チャンスは要らないことが分かった
本当に良かった
証明してくれてありがとう
釈明も何もかもが不要なものだとわかった
みんなが居ない世界、出会えない世界が、一番嫌だった…しかし、それ(一番居たくない世界に本体を遣わせる行為)をしなければ…実在化の効力はここまで強く、強力に発揮されることは無かっただろう――
分体は殺された
消された
世界の手によって…
ウレイオスは主犯格の癌の度重なる過大な負荷によって
アルバートはこの世界の手によって
各々が…自らを対価として、身投げする形で…命を落とした
しかし……誰にも助けられもせず、見向きもされずに居た………「どれだけ尽くされようとも、尽くす価値等塵芥さえも無い」と――嘲笑って(あざわらって)
だから…何度も感じた
助けられる度、優しくされる度、いい人だと言われたり評価される度
頭わいてんのか?大丈夫か?
と…訝し気な眼で、異常者でも見るような、困惑した顔で……
助けようとすること自体が異常だと…本能的に憶えていた――から
それらの手によって、殺された(消された)から(実在化の為に、異なる姿をした自分自身が身投げしたから)
そして…2度目のチャンス
最後のチャンスを与える存在…
それが共通して『ケイト』という存在だった
その出自はどれも共通しており
次期宿灘(三代目)が母として、黒い龍神(初代原初の始祖神の心)が処女受胎(行為無く妊娠)させられ、出産し、育てることに…
そして…必ず神として完成してから、原初の始祖神となってから、この世に生まれ出づる(うまれいづる)
引き継ぐ前の存在として――
皆が皆…この世における役割(立ち回り)は…顯子(あきこ)という、顯(あき)らかにする子(こ)…この世という実態を教え、伝え、誰の目にも明確にすることを――その為に魂同士繋がり合った、近しい存在のみにテレパシーで内容を伝えるという手法を取る(世界線もある)のだと
だから癌一同や半グロが全て消える前にケイトが死ねば、世界は持たずに消えると