第94章 創傷(そうしょう)
どれだけ泣き叫ぼうと
痛がろうと
苦しもうと…
それを前にして笑い続ける者のみしか居ない――
一人として―――居ない
こちらを見る者等…ひとりとして
増長するだけ
ろくなもんじゃない
端的に、そんな想いに駆られていた――
とんでもない目にばかり遭う
その原因もよくわかった…
火の心、剪定者を目醒めさせ
その上で氷河の心も身に付けてゆく
そして…魂としての力を正しく覚醒させる
魂の根幹を…在り方を――
きちんと怒り大事にする心も―――
そして10月11日(10月13日)…
4:08
再び魂が死んだ
蘇らない
戻らない
わかっている…
役目を終えたのだと
そうしてでも浄化は果たされたのだと……
わかっている……それでもなお、見捨てられないことを――
わかっていた…こうなることも……
シェパード「…………もう…休ませてやるか?」
力無く掛けられる声に…
静かに、頷くことも出来ず項垂れる他無かった
幸せそうに笑っていた…
手を振っていた
大好きと、満面の笑みで……
心底…元気で!幸せに!と言える貴女だから――
貴女にも……幸せで居て欲しかった
それを受けて
バチが当たったんだとゲラゲラ笑う悪童達が居る
ただただ貪り食うしかしない者ばかりが得をし、皆は笑う
亡骸を抱いて…咽び泣いていた……
リズを亡くし、抱き締めて咽び泣くメリオダスのように――
メリオダスを亡くし、咽び泣きながら抱き締めた時のように――
わかっていた…こうなることは…
それでも…
ケイト「幸せで居て欲しいから
笑って気兼ね無く過ごしていて欲しいから
のびのび…自由に…
私が…
私達が…
出来ない分まで、ずっと……」目を細め微笑
その心に…
どうすれば報いられるだろうか
どうすれば……
貴女がこんな目に遭わず、苦しまず、死なずに過ごしていられるのだろうか――
答えは出ない
いや、わかってる
無いんだ
そんな道なんか
無いんだ
何を持ってしても手に入らないんだ
存在する限り――そんな心は無にはならない…無い時等、訪れはしないのだから……決して!!←拳を強く握り締める
その中でも心肺停止を報せる無機質な音は変わらず鳴り響いていた――痛いぐらいに